転職活動を始めると、ほとんどの先生が一度はこう思うのではないでしょうか。
「本当にこのまま転職活動を進めていいのだろうか?」
私自身、動機があって転職活動を始めたものの、転職活動中は本当に多くのストレスと向き合い、数えきれないほど迷いました。
今回は、転職活動中に私自身が感じた迷いや不安を振り返り、そしてそれをどう整理していったのかをまとめます。
実際の私の転職体験談を元に解説します。
これから転職を考えている若手医師の方、子育て中の医師の方のお役に立てればうれしいです。
転職活動を始めると多くの「迷い」がでてくる
転職活動を始めると、不思議なことが起こります。
それまでは、
「今の働き方はこのままでいいのだろうか」
「もっと別の環境もあるのではないか」
などと思っていたはずなのに、いざ動き始めると、今度は次のような気持ちが湧いてきます。
- 今の職場も悪くないのではないか
- 自分が弱いだけではないか
- もう少し頑張るべきではないか
- やっぱり今じゃないのではないか
これは決して珍しいことではありません。
むしろ、転職活動をしている人の多くが経験する自然な心理だと思います。
転職活動中に医師が悩みやすいこと
転職活動中は、さまざまな感情が同時に押し寄せてきます。
私自身の経験や、周囲の医師の話も踏まえ、転職活動中の医師が特に悩みやすいことをまとめます。
1.今の職場への愛着と恩義
- 研修からお世話になった病院である
- 熱心に指導してくれた上司がいる
- 苦労を共にした同僚がいる
- コメディカルとの関係が良い
- 他科の先生とも相談しやすい
- 地域の医師との人脈が築けている
苦労を積み重ね、長く時間を過ごしてきた病院ほど、「ここを離れていいのだろうか」という気持ちは強くなりますよね。
2.自分の能力への不安
- 今の職場がつらいのは自分の能力不足ではないか
- ストレス耐性が低いだけではないか
- 自分はまだ甘いのではないか
- 専門医を取ったばかりで独り立ちできるのか
- もう少し今の病院で経験を積んだ方がいいのではないか
専門医を取得したとはいえ、医師としてはまだまだ経験も少なく、これからです。
「本当に新天地で医師として働いていけるのだろか」
「1人で判断していくことができるのだろうか」
多くの不安が生じてきます。
3.キャリア・専門性への不安
- 病院が変わったら症例数が減るのではないか
- 手技や検査の経験が積めなくなるのではないか
- 子育てと両立することができるのか
- 学会発表や研究の機会が減るのではないか
- 専門医更新に必要な実績は維持できるのか
- 急性期を離れたら将来戻れなくなるのではないか
- 他の医師から「楽な方へ行った」と思われないか
特に子育て中の若手医師にとって、働き方の見直しとキャリア形成がぶつかりやすいのが悩ましいです。
4.同僚への申し訳なさ
- 自分が辞めると同僚医師の負担が増える
- 当直や病棟業務のしわ寄せがいく
- 忙しい時期に抜けるのは申し訳ない
これは非常によくある悩みで、苦楽を共にした時間が長い職場ほど、つらいです。
特に、責任感を持って働いてきた先生ほど、「辞めること=迷惑をかけること」と感じやすいと思います。
5.退職を伝える怖さ
- 指導をしてくれた上司にどう思われるのか
- 嫌味を言われないか
- 感情的に怒られないか
- 同僚に冷たくされないか
- 言い出すタイミングが分からない
私は常にこのような不安を抱いて過ごしていました。
大変お世話になっていた職場だったので、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
転職活動で、退職の意思を伝えることが一番つらかったです。
6.次の職場への不安
- 求人票の条件は本当なのか
- 実際の労働環境はどうなのか
- 人間関係はうまくいくのか
- 自分はそこで必要とされるのか
- 大切にされる職場なのか
- 入ってみたら想像と違うのではないか
転職活動中は、次の職場のことが完全には見えません。
調べるのも限界があります。
実際に勤務してみないと分からないことだらけです。
7.収入や生活への不安
- 年収は下がらないか
- 住宅ローンは大丈夫か
- 教育費を払っていけるか
- 時間外手当や賞与は実際に支払われるのか
- 転職後に想定外の減収が起きないか
子育て世代の医師の転職は、働き方だけでなく家族全体の生活設計そのものが関わってくるので、本当に大変でした。
妻や子どもたちの人生にも関わるため、なおさら軽くは決められませんよね。
8.家族・子育てへの影響
- 妻(夫)の理解は得られるのか
- 通勤時間はどう変わるのか
- 子どもの送迎や生活リズムに影響しないか
- 子どもの教育環境はどうか
- 子どもは新天地で馴染むことができるか
- 教育環境を変えるタイミングとして良いのか
- 今より家族との時間は増えるのか
- 結局、家族に負担が増えるだけではないか
子育て中の医師にとって、転職は自分一人の話ではありません。
家族を巻き込む決断だからこそ、迷いも大きくなります。
9.転職して失敗したらどうしようという不安
- 転職先が合わなかったらどうするのか
- また転職することになったら履歴書に傷がつくのではないか
- 医師としての評価が下がるのではないか
- 今の職場に残っていた方がよかったと後悔しないか
転職は前向きな行動である一方、失敗への恐れが常につきまといます。
転職活動で迷うのは「普通のこと」
ここまで読むと、転職活動は不安だらけに感じるかもしれません。
でも、今振り返って思うのは、迷うこと自体がごく自然なことだということです。
悩んだり迷うのは、今まで誠実に仕事に取り組んできた証なのだと思います。
転職活動は、
- これまで築いてきた人間関係
- これからのキャリア
- 家族の生活
- 自分の価値観
そうしたものを丸ごと見直す大きなイベントです。
私が実践した「心の整理術」
今振り返っても、転職活動中は、本当に多くの悩みや不安と向き合いました。
「勤務先を変えなくてもいいのではないか」
「こんなに悩むくらいなら、転職活動はやめてしまおう」
幾度となくそう思いました。
でも、このような迷いが強くなったとき、私が意識していたことがあります。
特別な方法ではありませんが、頭の中を整理する助けになりました。
「なぜ転職を考えたのか」を書き出す
迷ったときに一番大事なのは、転職を考えた原点に戻ることです。
たとえば、
- 働き方を見直したかった
- 家族との時間を増やしたかった
- 今のままでは将来が見えなかった
- 心身の負担が大きすぎた
こうした理由を書き出してみると、「勢いで辞めたいわけではない」と確認できます。
迷っているときほど、最初の動機を見失いやすいものです。
今の職場の「良い点」と「限界」を分けて考える
今の職場に良いところがあるのは当然です。むしろ、良いところがあるからこそ迷います。
ただし、良い職場であることと、今の自分や家族に合っていることは同じではありません。
今の職場の良い点と、限界を分けて考えることで、少し冷静になれました。
「このまま5年続けた自分」を想像する
今のまま続けた未来がどうなっているのだろうかと想像してみることをお薦めします。
- 5年後も今と同じ働き方を続けていたらどうか
- 家族との時間はどうなっているか
- 自分はどんな表情で働いているか
- その働き方を心から続けたいと思えるか
「変わることの不安」だけでなく、「変わらないことのリスク」も見ることが大切です。
いまの職場の構造的な問題を考えてみる
冷静に今の職場の構造的な問題を考えてみましょう。
なぜ辞めよう、職場を変えようと思ったのか。
- 人員不足
- 業務過多
- オンコールや当直の負担
- 組織としての支援不足
こうした問題は、個人の努力だけでは解決できないです。
「自分が弱いからつらい」のではなく、「環境として厳しい」場合もある。
この視点を持つだけでも、心は少し軽くなりますよ。
家族と「気持ち」も共有する
転職活動では、孤独です。
できればパートナーや、相談できる友人、両親の意見に耳を傾けてみましょう。
- 今どれくらいしんどいのか
- 何に悩んでいるのか
- どういう生活を望んでいるのか
そうした気持ちの部分を共有したり、言葉に出すことで思考が整理されることがあります。
転職活動は「自分の人生を見直す時間」!
転職活動は、単に求人を探して応募する作業ではありません。
私にとっては、
- 自分はどんな医師でありたいのか
- どんな働き方を続けたいのか
- 家族との時間をどう守りたいのか
- 何を優先して生きていきたいのか
そうしたことを見直す貴重な時間でもありました。
転職活動中の迷いは苦しいものですが、見方を変えれば、人生の軸を確認する大事なプロセスでもあると思います。
まとめ|迷うのは、真剣に考えている証拠
転職活動中は、
- 不安
- 迷い
- 罪悪感
- 恐れ
- 葛藤
さまざまな感情が入り混じります。
でも、それは決して悪いことではありません。むしろ、真剣に人生と向き合っている証拠だと思います。
もし今、転職活動の途中で揺れているなら、まずは「迷っている自分はおかしくない」と認めてみましょう。
迷いながら考えた時間は、きっと無駄にはなりません。
その積み重ねが、自分にとって納得できる決断につながっていくはずです。
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