【2026年度呼吸器専門医試験】対策・勉強法・おすすめ書籍を現役専門医が解説

呼吸器専門医試験は、呼吸器内科医としての専門性を公式に証明する重要な資格試験です。
しかし、過去問が非公表で試験対策の情報が少なく、どのように準備すればよいのか分からずに不安を感じている先生も多いのではないでしょうか。

試験範囲はとても広く、基礎から最新のガイドライン・トピックスまで網羅されており、日常の呼吸器内科業務の合間に計画的かつ効率よく対策することが合格への鍵です。

この記事では、2026年度試験を受験予定の先生方が最短で合格するための情報を、現役呼吸器専門医の経験と複数の受験者体験談をもとにまとめています。
試験日程・合格ライン・勉強法・おすすめ書籍・当日の注意点まで体験談を踏まえ網羅していますので、ぜひ最後まで読み参考にくださいね!

目次 閉じる

  1. この記事でわかること
  2. 2026年度 第36回専門医試験日程・概要
  3. 試験の構成と合格ライン
  4. いつから・どのくらい勉強すればいい?
  5. 試験対策に必須の書籍
  6. 合格への勉強法:具体的な進め方
  7. 試験で特に押さえるべきポイント
  8. 2022〜2025年 受験者のリアルな体験談
  9. 余力がある・確実に合格したい先生向けの追加書籍
  10. 私の呼吸器専門医試験 受験体験記
  11. 呼吸器専門医を取得したその後:キャリアの広がり
  12. まとめ:合格のための3つのポイント
  13. 関連記事

この記事でわかること

  • 2026年度呼吸器専門医試験の日程・試験構成・合格ライン
  • いつから・どのくらい勉強すれば合格できるか
  • 試験対策に必須の書籍と具体的な勉強法
  • 受験者のリアルな体験談
  • 試験当日のポイントと注意事項
  • 専門医取得後のキャリアの広がり

2026年度 第36回専門医試験日程・概要

2026年度の具体的な試験日が公表されています。

項目内容(目安)
書類提出期間2026年6月1日〜7月1日
書類審査結果通知2026年9月初旬(郵送予定)
試験日2026年10月11日(TOC有明)
合否通知2026年12月ごろ郵送で通知

⚠️ 最新の確定情報は必ず日本呼吸器学会公式HPでご確認ください。

試験の構成と合格ライン

試験は午前の一般問題・午後の実地問題の2部構成です。

区分問題数試験時間
一般問題(共通)70題10:45〜12:30(105分)
実地問題(共通)50題13:45〜15:30(105分)

合格率(日本呼吸器学会 公式データ)

回(年度)受験者数合格者数合格率
第33回(令和5年/2023年)342人297人86.8%
第34回(令和6年/2024年)325人265人81.5%
第35回(令和7年/2025年)378人305人80.6%

合格率は例年80〜87%。合格に必要な点数(合格点)は非公表です。
合格ラインは年度によって多少変動する可能性がありますが、しっかりと対策すれば十分に届く水準です。

一般問題(70題)分野別内訳

ジャンル分野問題数の目安
総論形態・機能・病態生理5題
総論疫学2〜5題
総論主要症候と身体所見5題
総論検査5題
総論治療5〜10題
各論気道・肺疾患20題
各論呼吸不全5題
各論胸膜疾患5題
各論縦隔疾患5題
各論横隔膜・胸郭疾患1〜4題
トピックス最新EBMが明らかな事項5〜10題

実地問題(50題)分野別内訳

分野問題数の目安
感染症および炎症性疾患5題
慢性閉塞性肺疾患(COPD)5題
気管支・細気管支の疾患5題
アレルギー性疾患5題
特発性間質性肺炎(IIPs)5題
ALI/ARDS・肺循環障害5題
呼吸器新生物(肺癌など)5題
薬剤・化学物質・放射線障害2題
全身性疾患に伴う肺病変2〜5題
じん肺症2題
呼吸調節障害1〜2題
その他(稀な肺疾患)2〜5題
呼吸不全2題
胸膜・縦隔疾患2〜10題

なお、気になる実地問題の文量ですが、内科専門医試験の臨床問題と同程度の文章量があります。
時間感覚ですが、私だけでなく後輩受験者も同じ感覚でしたが、試験時間に余裕はなく、解ける問題を素早く確実に解いていく意識が大切です。

いつから・どのくらい勉強すればいい?

「いつから始めれば合格できるのか」は、受験を控えた先生が最も気になるポイントの一つです。
複数の合格者体験談と自身の経験をもとにまとめると、以下が目安となります。

タイプ推奨開始時期総勉強時間の目安
余裕をもって合格したい書類提出後すぐ(7月〜)300〜500時間(3ヶ月)
標準的な対策試験2〜3ヶ月前150〜300時間
最低限で乗り切りたい試験1ヶ月前100時間前後

急性期総合病院で勤務する呼吸器内科医は、日常臨床で忙しく、まとまった試験対策の時間を確保するのは難しいと思います。
「1ヶ月・試験対策の一問一答を4〜5周で合格点には達したが、精神的にかなりきつかった」のが私自身の体験談ですので、1ヶ月前はお薦めしません。

個人的なおすすめは3ヶ月前からの開始です。
書類提出(6〜7月)が終わったタイミングで試験モードに切り替えると、余裕をもって対策できると思います。
育児や日当直で勉強時間が限られる先生こそ、早めのスタートが精神的にも楽になります。

試験対策に必須の書籍

残念ながら、呼吸器専門医試験専用の新しい問題集は2022年以降出版されていません。
ですが、日本呼吸器学会から「新 呼吸器専門医テキスト 改訂第3版)が2026年4月27日に発売されています!!
テキストも古くなっていたので、試験対策をする上では大変ありがたいですね!
現時点での試験対策の王道は下記の2冊+肺癌ガイドラインです。

新 呼吸器専門医テキスト(改訂第3版)南江堂

日本呼吸器学会が編集した唯一の学会公式テキストで、受験者全員の必携書です。試験問題はこのテキストをベースに作成されており、青線(下線)部はそのまま選択肢として出題されることもあるため、まず青線部の確実な確認が最優先となります。
テキストに記載されていない事項からも出題されるため、テキストは「最低限の基盤」として位置づけるのが現実的です。

呼吸器専門医・内科専門医呼吸器分野 試験対策 一問一答!(粟野 暢康)

2172問で呼吸器専門医試験の全範囲をカバーできる問題集で、受験者の60〜70%が試験当日も会場に持参するほど定番の一冊です。
呼吸器学会のカリキュラムを参考に作問されており、信頼性が高い点も心強いです。

使い方のポイントは、テキストを読んだ箇所の知識確認としてすぐに解くこと。一問一答で間違えた問題はテキストや各種ガイドラインに立ち返って確認するサイクルを繰り返すことで、知識が定着していきます。
2022年6月発行のため最新の統計値や肺癌領域をはじめとした各疾患の最新の知識は各自で補う必要があります。

③ 肺癌診療ガイドライン(日本肺癌学会)

肺癌領域は呼吸器専門医試験で最も出題割合が高い分野です。
TNM分類・病期、最新の薬物療法レジメン(一般名)、免疫チェックポイント阻害薬の適応は必ず確認してください。
日本肺癌学会のHPから無料で最新版を参照できます。悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍のガイドラインも同書に含まれています。

合格への勉強法:具体的な進め方

STEP 1:一問一答で全範囲を一周する

まず一問一答を進めながら全体像を把握します。
各問題を解いたら、疑問が生じた箇所はすぐに専門医テキストまたはガイドラインで確認する習慣をつけましょう。
「一問一答を解く→テキストで補強する」このサイクルが最も効率的な学習法です。

問題数が2172問と多く、一周するだけでも相当な時間がかかります。まずは全体を回すことを優先し、正解した問題と間違えた問題を仕分けしながら進めると、2周目以降の効率が上がります。

STEP 2:専門医テキストの青線部を確実に押さえる

専門医テキストの青線(下線)部は最優先で確認してください。
試験でそのまま選択肢に使われる場合もあります。
基礎分野(解剖・生理・呼吸生理)は内容が大きく変わらない反面、「勉強しないと全く解けない・勉強すれば確実な得点源になる」分野です。
日常臨床で馴染みの薄い疾患や希少疾患も細かく問われる傾向がありますので、意識的に目を通しておきましょう。

STEP 3:最新トピックスのアップデート

2026年度は上記の学会公式の新専門医テキストが発売されため、昨年までよりは精神的に取り組みやすいのではないかと思います。
下記のテーマについては重点的にチェックしておきましょう。

  • 肺癌:最新の薬物療法レジメン、免疫チェックポイント阻害薬の適応、TNM分類改訂
  • COPD・喘息:GOLD分類・JGL改訂、吸入薬の新規適応
  • 間質性肺炎(IPF):抗線維化薬の使い方、診断基準の変更
  • 呼吸器感染症:非結核性抗酸菌症(NTM)のガイドライン改訂
  • COVID-19関連:後遺症・肺合併症についての知識

日本内科学会雑誌の呼吸器領域の総説などでトピックスをチェックしておきましょう。

試験で特に押さえるべきポイント

1)肺癌領域は最頻出

受験者の一致した感想として「肺癌からの出題が最も多い」があります。
具体的には、TNM分類・病期、非小細胞肺癌・小細胞肺癌の治療方針、ドライバー遺伝子変異と対応する分子標的薬(一般名)、PD-L1発現と免疫チェックポイント阻害薬の適応、肺癌スクリーニングの現状などが頻出です。
最新の肺癌診療ガイドラインは必ず確認してください。

2)基礎分野(解剖・生理)は得点源

解剖・呼吸生理・換気機能検査の解釈は、「日常臨床ではあまり深く考えないが試験では確実に問われる」分野です。
専門医テキストの冒頭部分から丁寧に学習することで、安定した得点源になります。

3)マニアックな疾患・希少疾患も出題される

日常臨床でほとんど遭遇しないような希少疾患(リンパ脈管筋腫症・肺胞蛋白症・好酸球性肺炎など)についても細かく問われます。専門医テキストの該当箇所を一通り確認しておきましょう。

4)気管支鏡・呼吸器感染症分野も要チェック

気管支鏡の適応・手技・合併症や、結核・NTM・肺炎・真菌症などの感染症分野からの出題もあります。呼吸器感染症は出題割合が比較的高く、一問一答でしっかりカバーされているので確実に押さえておきましょう。

2022〜2025年 受験者のリアルな体験談

複数の受験者から集めた「生の声」をまとめます。
周囲に受験経験者がいない環境で勤務されている先生は特に参考にしてくださいね。

試験の難易度・手応えについて

  • 「確実に解答できたと思った問題は全体の3〜4割程度。残り6〜7割は厳しい手応えだった。それでも合格していた」
  • 「専門医テキストに載っていない内容から、当然のように出題されていた」
  • 「問われる知識がかなり細かく、1ヶ月の勉強では厳しいと感じた」
  • 「難しすぎて確実に落ちたと思ったが、なぜか合格していた。採点基準が分からない」
  • 「実地問題の文章量があって時間がかかった」

勉強法・書籍の使い方について

  • 「一問一答を軸に、間違えた問題を専門医テキストで確認するサイクルが効果的だった」
  • 「試験当日の会場で6〜7割の受験者が一問一答を持参していた。それだけメジャーな対策書籍」
  • 「一問一答を4〜5周して臨んだ。1ヶ月では精神的にかなりきつかったが合格できた」
  • 「肺癌ガイドラインは絶対に確認すべき。出題割合が明らかに高かった」
  • 「日常臨床では遭遇しない疾患こそ、テキストで丁寧に確認しておくべきだった」

試験当日・会場について

  • 「試験会場周辺のホテルは1週間前では満室だった。最低でも1ヶ月前には予約を」
  • 「解答時間に余裕はない。分からない問題に時間をかけすぎず、解ける問題を確実に」
  • 「試験前日はしっかり休むべき。本番はかなり体力・集中力を消耗する」
  • 「試験後に他の受験者と話すと、みんな難しかったと言っていた。それが普通らしい」

余力がある・確実に合格したい先生向けの追加書籍

一問一答が仕上がり、最新トピックスまでしっかりカバーしたい先生には以下の書籍もおすすめです。いずれも日常臨床でも活用できる実践的な内容です。

① 呼吸器疾患最新の治療2025-2026(南江堂)

各疾患の最新治療・ガイドラインのポイントがコンパクトにまとめられており、専門医テキストの「アップデート版」として使えます。トピックスを効率よくキャッチアップしたい先生に最適です。

▶ Amazonで確認する(呼吸器疾患最新の治療2025-2026)

② ポケット呼吸器診療2025(シーニュ)

倉原優先生著の現場でも人気のコンパクトマニュアル。ガイドライン改訂の把握や、臨床知識のアップデートに役立ちます。すでに臨床で使用している先生も多いと思いますが、試験対策としても活用できます。

▶ Amazonで確認する(ポケット呼吸器診療2025)

③ 最新ガイドラインに基づく呼吸器疾患診療指針 第6版(総合医学社 2024年12月)

各疾患の診療指針を横断的に参照できる一冊。

▶ Amazonで確認する(呼吸器疾患診療指針 第6版)

私の呼吸器専門医試験 受験体験記

ここでは、実際に私が受験した際の経験をお伝えします。

試験勉強の開始は1ヶ月前ではやや遅い

私は試験約1ヶ月前から勉強を開始しました。
理由は総合内科専門医試験も直前に受験しており、終了直後から開始したからです。
結論から言えば、合格はできましたが「もっと早く始めるべきだった」というのが正直な感想です。1ヶ月という短い期間では十分なカバーが難しく、試験本番まで相当な精神的なプレッシャーが続きました。今振り返ると3ヶ月前からの開始が理想です。

ホテルの予約は早めに

試験会場(TOC有明)周辺は、同時期に他の大きなイベントが重なることもあり、直前では近隣ホテルの予約が取れなくなります。受験が確定したら、なるべく早めにホテルを予約しておきましょう。当日の移動ストレスを減らすことも、試験の出来に影響します。

問題の難易度は高く、解答時間に余裕はない

実際に受験してみると、確実に正解できると思えた問題は全体の3〜4割程度でした。残りは知識が曖昧だったり、選択肢を絞り込めなかったりと、手応えは決してよくありませんでした。それでも合格できたのは、解ける問題を素早く確実に解答し、分からない問題に時間をかけすぎなかったからだと思います。試験中は時間管理を意識してください。

最終的な私の勉強法

時間的制約から、最終的には一問一答を4〜5周繰り返すことをメインの対策としました。短期間でも、問題集を繰り返し回すことで知識が定着し、合格点に達することができました。ただし、精神的な余裕という意味では明らかに不足していました。先生方はぜひ余裕をもって始めてください。

呼吸器専門医を取得したその後:キャリアの広がり

苦労して呼吸器専門医を取得すると、精神的にも大きな達成感と安心感があります。
しかし専門医の価値は、その「安堵感」だけではありません。
キャリアの選択肢が大きく広がるのが最大のメリットです。

呼吸器専門医は、内科の中でも医師不足が続く診療科のひとつです。
そのため転職市場では売り手市場となっており、自分の条件・希望を主張しやすい立場にあります。
実際に私自身、専門医取得後に医師転職サイトを通じて「呼吸器専門医としての専門性を活かせる環境」+「家族にとっても良い環境」を見つけることができました。専門医がなければ交渉の土俵にすら上がれなかったかもしれません。

今の職場環境に悩んでいる先生、呼吸器専門医取得後のキャリアを考えている先生は、まずは確実に専門医試験に合格し専門医を取得することを最優先に考えましょう!
医師専門の転職サイトに登録してみることをおすすめします。無料で求人情報を確認でき、専門医としての市場価値を知るだけでも大きな気づきになります。

まとめ:合格のための3つのポイント

呼吸器専門医試験合格のために押さえるべきことを最後にまとめます。

  1. 3ヶ月前には勉強を始める:書類提出(6〜7月)が終わったタイミングでスタートするのが理想。1ヶ月前では精神的にもきつい。
  2. 専門医テキスト+一問一答を軸に回す:新専門医テキストの青線部を確実に押さえ、一問一答で全範囲を繰り返す。この2冊がメインの対策書。
  3. 肺癌・最新ガイドラインは別途チェック:肺癌領域は最頻出。最新のレジメン・TNM分類・免疫チェックポイント阻害薬の適応は必ず確認する。

過去問がなく対策しにくい試験ではありますが、上記を着実に積み上げれば合格は十分可能です。
先生方の合格を心よりお祈りしています!良い知らせをお待ちしております。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA



reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。