無事に上司に退職を伝えた。
大きなひと山を越えた安堵感と同時に、「これからどう過ごせばいいんだろう」という漠然とした不安が押し寄せてきました——私が退職を上司に伝えた翌日のリアルな気持ちです。
退職を伝えるまでの準備や覚悟については前回の記事【医師の退職体験談】病院を辞める時の上司への伝え方でまとめましたが、実は伝えた後の過ごし方も、円満退職を左右します。
この記事でわかること:
- 退職を伝えた直後にやるべきこと・やってはいけないこと
- 引き継ぎを上手に進めるためのコツ
- 職場の雰囲気が変わったときの心構え
- 退職日までのメンタル管理・モチベーション維持のコツ
呼吸器内科医として13年、転職を経験した私の体験談も交えながら、リアルにまとめていきます。
退職を伝えた直後にやること・やってはいけないこと

退職の意思が受理されると、「よし、あとは日々こなすだけ」と気が緩みがちです。
ところがここからの言動が、最終的な評価と今後の人間関係を大きく左右するので注意が必要です。
まず確認すること
退職日の正式確認:上司と口頭で合意したら、できるだけ早く文書(退職願・退職届)を提出し、退職日を明確にする。
就業規則の再確認:有給休暇の残日数や消化のタイミングは、退職前に改めて確認しておくと安心です。意外と「こんなルールがあったのか」という発見があります。
絶対にやってはいけないこと
| NG行動 | 理由・リスク |
|---|---|
| 上司より先に同僚・スタッフに話す | 職場が混乱し、上司との信頼関係が崩れる |
| SNSや外部に退職を公言する | 病院・患者への影響が出る可能性があり、トラブルの元 |
| 愚痴・不満を周囲にぶちまける | トラブルや、人間関係の悪化、嫌がらせなど、悲惨な退職につながる |
| 仕事への手を抜く | 最終評価に直結。トラブルのもとになる |
| 引き継ぎを曖昧なままにする | 患者への継続ケアに支障が出る。 |
何より——辞めた本当の理由は決して漏らさないこと。「転職先はどこですか?」と聞かれても、退職するまでは濁しておくのが賢明です。
医療業界は本当に狭く、情報はあっという間に広まります。
引き継ぎを上手に進めるコツ

医師の引き継ぎは一般の会社・企業とは異なり、患者の命・継続的な医療がかかっているから特殊です。
丁寧な引き継ぎは医師としての責任です。
ここでは、私の退職経験から、引き継ぎ業務のコツをまとめてみました。
患者さんへの引き継ぎ
- 退職することをお伝えし、疾患の特性や性格、引き継ぐ予定の先生との相性を考慮しながら検討する
- 長期処方の患者から順に、他院への紹介状や引き継ぎサマリーを作成していく
(安定している方や、開業医でも診療可能な方は、残る先生の業務負担を減らすために、可能な範囲で開業医に紹介をするように配慮しましょう) - 入院中の患者で退院ができなさそうな患者さんについては、日々のカルテの中で少しずつサマリーを書き始めておくと退職直前に慌てなくて済む
- 外来通院中の患者については、主な既往・薬剤アレルギー・治療方針が伝わるように引き継ぎ文を作成する
私が最も気を使ったのは、長年フォローしていた慢性呼吸器疾患の患者さんたちです。
特に化学療法をしている肺がんの患者さんからは、不安や驚きを話される患者さんが多く、中には「先生が辞めるなら私も受診をやめる」とまで言い出す方もおられ、とても胸が痛かったです。
それでも一人ひとりの疾患・性格・生活背景を考えながら、引き継ぐのであれば「この患者さんにはこの先生が合うだろう」と真剣に考えました。
自己免疫性疾患を呼吸器内科で診療するケースもありますが、特殊な疾患については、状態を考慮し、他の専門科がある病院にも紹介をすることもしていました。
業務・管理系の引き継ぎ
- 担当していた委員会・カンファレンス・勉強会の引き継ぎ先を早めに調整
- 学会登録・専門医更新に関連する書類は自分で整理して保存(退職後は照会しにくくなる)
- 研究データ・論文の引き継ぎは共同研究者と個別に相談
- 処方権・各種システムIDの返却・変更手続きは人事・医事課と事前確認
自分のキャリアのためにも:診療実績・症例のまとめを進めよう
引き継ぎと並行して、自分自身の診療記録や経験症例を整理しておくことも大切です。
- これまでの診療実績・経験した症例をまとめておく
- 次の職場で使えそうなことを整理する
- 珍しい症例・学会発表につながりそうな症例は、在職中にまとめておくのがベスト
退職後に「あのカルテを確認したい」と思っても、基本的にアクセスできなくなります。
在職中にまとめられるものはまとめておく——これは意外と見落としがちなポイントです。
なお、退職前は意外と忙しくなることも覚悟しておきましょう。
サマリー作成・引き継ぎ・紹介状作成が重なり、通常業務との両立はなかなかタフです。
私の退職体験談の記事を読み、余裕を持ったスケジュールで動くことをおすすめします。
職場の雰囲気が変わる——その心構えをしておこう!

退職を伝えると、職場の空気が変わります。
特に先生が抜けることで、さらに余裕がなくなる職場ほど、覚悟しておいた方がいいです。
よくある「空気の変化」のパターン
- 上司や一部の同僚が急によそよそしくなる。冷たくなる
- 会議や重要な情報共有から外されるようになる
- 逆に、急に優しくなって引き留めを試みてくる
- コメディカルや事務スタッフが距離を置いてくる
私が実際に経験したことです。
ある先輩には退職を伝えた翌日から廊下ですれ違っても目を合わせてもらえなくなりました。
正直、傷つきます。
また、退職前には多少の追加業務をお願いされるケースもあります。
辞めることが決まった医師には、ある意味で、周囲も頼みやすくなるものです。
ここは割り切って対応していきましょう。
気を緩めないことが最重要
退職が決まることで職場に貢献しようというモチベーションが落ちてしまう時期だからこそ、仕事での落ち度・ミス・トラブルには今まで以上に注意が必要です。
退職間際のトラブルは印象に残りやすく、ダメージが大きく、長年積み上げた信頼を一瞬で損なうことがあります。
退職する旨を伝えた後の過ごし方で最も大切なのは「仕事の整理と引き継ぎを丁寧にやりきること」に尽きます。
それができれば、無難に最終日を迎えられます。
退職日までのメンタル管理とモチベーション維持
モチベーションが落ちる原因
- 「どうせ辞めるのに」という気持ちが湧いてくる
- 新しい職場・生活への期待と現職場でのギャップが大きくなる
- 職場の雰囲気の変化によるストレス
- 引き継ぎ・手続きの煩雑さによる疲弊
私が実践した乗り越え方
①「最後にするべきこと」を決める
退職までの間に「これだけはやり遂げる」というテーマを1〜2個決めました。
私の場合は「担当患者全員のサマリーを丁寧に完成させる」「病院が行っていることをまとめる」でした。小さなことでもゴールがあると動きやすくなります。
②「転職後の自分」を具体的にイメージする
次の職場でやりたいこと、学びたいこと、子どもとの時間の使い方——こうした「未来の楽しみ」を具体的にイメージするだけで、今の職場でのしんどさが相対的に軽くなります。
③プライベートに投資する
退職前後は体力・気力ともに消耗しやすいので、意識的にプライベートを充実させました。
特に家族との時間・休息時間の確保、普段できていなかったことに少し時間を使うことで、意識的に落ち着かせるように心がけて過ごしていました。
まとめ:退職を伝えた後の過ごし方が円満な退職につながる!
退職を伝えた後の数ヶ月は、正直しんどいです。
気まずさ、引き継ぎの煩雑さ、モチベーションの低下——私も全部経験しました。
でも今振り返ると、退職前の時間を、無難に円滑に過ごすことは次の職場でスムーズに働くうえで大切であったと感じています。
医師は「辞めてからも続く縁」の中で仕事をすることがあります。
最後まで誠実に、そして自分を大切にしながら退職日を迎えてほしいと思います。
先生のキャリアの次のステージが、きっと充実したものになるよう応援しています。
前回の「上司への退職の伝え方」【医師の退職体験談】病院を辞める時の上司への伝え方記事と合わせて読むと、退職前後のイメージがつかめると思います。ぜひ参考にしてみてください。
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