私が気管支喘息発作を発症しシムビコートを使用して感じたことを解説!

【はじめに】

呼吸器内科では気管支喘息、咳喘息の症状で悩む方々を専門的に診療します。特に季節の変わり目や風邪などを契機に悪化する方々が多いです。

日常でこのような方々に気管支喘息の治療として、吸入薬を処方しますが、実際に経験をしてみないと分からないことって多いですよね。

今回、実際に私自身が気管支喘息になった際に、吸入治療薬のシムビコートを使ってみて感じたことを記事にしてみます。

日常の外来診療で、シムビコートを処方した患者さんからは

「使用時に回しすぎてしまった」

「初回の使い方が分かりにくい。難しい」

「本当に吸入できているのか分かりにくい」

「吸った感じがしないため不安」

「シムビコートを実際に使用してみてどうなのか知りたい」

といった悩みや不安の声を聴きます。

この記事を読むことで、シムビコートを使用中の方、医師からシムビコートを処方され開始する方、シムビコートを取り扱う機会のある医療関係者の方々が、シムビコートのイメージが分かることを目標にします。また現在気管支喘息で悩んでいる方にも参考になる記事だと思いますのでぜひ一読ください!少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです!

私が実際にシムビコートを使ってみて感じたこと

1)使う前の準備がしっかりできているのか不安に感じる

シムビコートは実際に吸入できるようにする前に、前準備が必要です。ですが、慣れないと、ややこしいです。付属される説明書も、やや分かりにくいです。

シムビコートの準備に不安がある方は、下記の対応をして不安を解消しましょう!

2)使い慣れるまでは、本当に吸入できているのか不安になる

実際に私が初めて使用してみると、吸入ができているのか不安になりました。

その理由としては下記が挙げられます。

  • シムビコートの吸入薬は味や臭いがしない
  • 視覚的に見ても分からない
  • 左右に回転させて1回分の吸入薬をセットする必要がありますが、この操作に慣れが必要

などの理由があります。特に喘息症状が悪い時に、うまく吸入ができていないのではないか?と不安をより強く感じました。

シムビコートを吸っても、味がしないと言われていますが、私が使った感じでは、「なんとなく苦いような感覚」がわずかにありました(結果的にこの感覚があり、吸入できているのだろうなと安心を感じました)

3)理解力がない高齢者には、手技が難しい

上記のため、理解力が追い付かない高齢者、認知症の疑いがある方、認知症の方、手先が動かせない方には不向きだと感じました。

今後、処方をする際に注意していきたいポイントです。

4)しっかり息を吸うことができない方には効果が少なくなりそう

シムビコートは上述したように準備を行い、しっかり吸って、肺の中に薬を届ける必要があるため、肺疾患などで息を吸う能力が落ちている方には効果が少なくなると感じました。

初めて処方をする患者さんには、”しっかりと薬を吸って、気道内に送り届けるようにする”というイメージを説明することがコツだと感じました。

5)喘息発作時に追加で吸入することを理解できる方にはお薦め

シムビコートは、喘息発作時に追加で吸入をすることができる点がメリット(SMART療法といいます)です。逆にこのことを理解できない方には、シムビコート以外の吸入ステロイド薬でもいいかと思います。

6)比較的効果を感じるのが速い印象

外来で実際に吸入した患者さんからお話を聞いてみると、効果が速い方々は、翌日くらいから症状が楽になったと伺います。治療効果が出る方は、吸入を始めて数日後くらいには、効果を実感されている方が多い印象です。

私も、翌日には症状が軽減し、3日後には会話ができる状態にまで軽快しており、効果を実感しました。

日常臨床でよく質問されることが多い事項

1)吸入後にうがいをしないとどうなりますか?

口の中に残ったステロイドにより生じる、下記のような副作用が有名です。

  1. 細菌やカビが繁殖し、口内炎、口腔感染(口腔カンジダ症など)になるリスクが高まります。
  2. 声がかすれる(嗄声)、咽頭の違和感

このようになると吸入できない状態になってしまい喘息のコントロールに難渋してしまいます。なので、吸入後は必ずうがいをするように指導をしましょう!

2)妊娠中に使うことはできるの?

添付文書には「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」とあります。

外来には妊娠中に気管支喘息が悪化し受診される方がいます。実は、妊娠中の多くのストレスをきっかけに悪化してしまう方がいます。喘息のコントロールが悪いことで不眠になり生活リズムを崩してしまい、日常生活に支障をきたす方もおられます。特に妊娠中にこうなると大変です。また分娩時にコントロールが悪いと出産時のリスクが増えます。なので、必要な時には、治療を恐れずにしっかりと喘息管理をすることが重要です。

3)吸入治療薬は勝手に止めてもいいですか?

よく外来で質問される内容です。多くの場合は、自己判断で終了することは避けた方がいいです。次回の外来受診時に医師に確認をしてみましょう。

まとめ

今回は、医師の私自身が気管支喘息になった際にシムビコートを使用した経験談を元に、感じたこと、今後の臨床に活かしていきたいことをまとめてみました!

実際に使用してみないと分からないことが多くあります。喘息症状で悩んでいる方の視点から診療することを心がけていくことが大切です。

この記事が、これからシムビコートを使う方や、日頃の診療で気管支喘息の診療をされている医療関係の方々のお役に立てれば幸いです!

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