【2026年度呼吸器専門医試験対策】低線量CTによる肺がん検診 第6版改訂の要点と一問一答

日本CT検診学会より「低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方 第6版(2024年3月改訂)」が約6年ぶりに改定されました。

この基準は、

  • 肺がん検診で発見された肺結節の評価
  • 精密検査の適応
  • 経過観察の期間

を決める上で、日本の臨床現場で広く参照されている重要な指針です。

呼吸器専門医試験でも
肺結節のサイズ基準やフォローアップ期間は頻出テーマであり、
改訂ポイントを押さえておくことは非常に重要です。

この記事では

  • 第6版改訂の重要ポイント
  • 臨床で覚えておきたい基準
  • 呼吸器専門医試験レベルの一問一答

をコンパクトにまとめました。

忙しい臨床医でも5分で復習できる内容にしていますので、
ぜひチェックしてみてください。

臨床で役立つ第6版改訂の要点

今回の改訂の中で、専門医が知っていたほうがいい要点をピックアップしました。

  1. 「日本における低線量CT肺がん検診の推奨について」の追加:
     日本肺癌学会のガイドライン2022に基づき、喫煙指数600以上の高喫煙者(50〜74歳)を対象とした研究で死亡率減少効果を示され、推奨(グレードA)に。
     ⾮喫煙者/軽喫煙者や⾼喫煙者でも上記対象年齢以外に関しては死亡率減少効果を⽰す証拠が⼗分ではないので、対策型検診としては⾏うよう勧められない(推奨I )。
  2. 部分充実型結節(15mm未満)の基準変更:
     確定診断を推奨する充実成分径が、従来の5mm以上から8mm以上へと変更された。
  3. 経過観察期間の延長の提案:
     全体径15mm未満かつ充実成分径8mm未満の結節の経過観察期間が、3,6,12,24,36,48,60ヶ⽉後(5年まで)に変更された。

呼吸器専門医試験レベル 一問一答

第6版改訂をもとに、呼吸器専門医試験で問われやすい知識、ポイントをまとめた問題を作成しました。
また実際の臨床でも役立つ知識なので、ぜひこの機会にチェック・復習をしておきましょう!

【問題】

  1. 喫煙指数600以上の高喫煙者で、50〜74歳に対する低線量CT肺がん検診の推奨グレードは?
    推奨A(死亡率減少効果を示す証拠がある)。
  2. 非喫煙者や軽喫煙者に対する低線量CT肺がん検診の推奨グレードは?
    推奨I(死亡率減少効果を示す証拠が不十分)。
  3. 検診機関が精密検査医療機関へ紹介する際、肺結節の大きさを評価する指標は?
    最大径と短径の平均値
  4. 検診CTにおいて、精密検査を推奨する肺結節の大きさ(平均値)の閾値は?
    6mm以上(ただし過去画像と比較して増大がない場合や肺内リンパ節と判断できる場合は除く)。
  5. 精密検査医療機関における肺結節の大きさの基準は、どの指標を用いるか?
    TS-CT(薄層CT=thin sectionCT)での最大径
  6. 初回TS-CTにおいて、確定診断(生検等)を原則検討すべき充実型結節の最大径は?
    10mm以上
  7. 喫煙者の充実型結節(6mm以上10mm未満)に対する経過観察スケジュールは?
    3, 6, 12, 18, 24ヶ月後
  8. 非喫煙者の充実型結節(6mm以上10mm未満)に対する経過観察スケジュールは?
    6, 12, 24ヶ月後
  9. 充実型結節において「不変」と判断し、経過観察を終了できる期間は?
    2年間(その後は検診機関に戻す)。
  10. 全体径が15mm以上の部分充実型結節に対する対応は?
    確定診断を検討する(炎症性を考慮し3ヶ月後のTS-CTで縮小・消失がないか確認が必要)。
  11. 全体径が15mm未満の部分充実型結節で、確定診断を検討する充実成分径の閾値は?
    8mm以上
  12. 全体径15mm未満・充実成分径8mm未満の部分充実型結節の経過観察スケジュールは?
    3, 6, 12, 24, 36, 48, 60ヶ月後
  13. TS-CT上、最大径15mm以上のすりガラス型結節(pure GGN)に対する対応は?
    3ヶ月後のTS-CTで不変・増大であれば確定診断を行う。
  14. 最大径15mm未満のすりガラス型結節(pure GGN)の経過観察の最終期限は?
    60ヶ月(5年)
  15. 経過観察中に、結節全体の「増大」と定義される変化量は?
    2mm以上の増大。
  16. 肺尖部の炎症瘢痕や肺気腫の索状影において、癌を疑うべき所見の変化は?
    緩徐な吸収値上昇幅の増加、中枢側への増大。

その他:第6版改訂を読んで学習したこと

読影における留意点とピットフォール

特に以下の点に注意して読影を行う必要があります。

  • 見落としやすい部位と病変の特徴を知っておくこと:
    • サイズに関わらず注意: 径が10mmを超えていても見落とす可能性があることに留意する。
    • 既存構造物との区別: 肺門近傍での肺血管との区別、太い血管や縦隔に接している結節、気管・気管支内の病変、胸膜に接している病変(末梢の胸膜直下、葉間胸膜、縦隔、横隔膜)などは見落としやすいため、慎重な確認が必要である。
    • 既存病変内の変化: 肺尖部の炎症瘢痕、ブラ、肺気腫、間質性肺炎などの既存病変に限局して出現する陰影や、肺嚢胞の壁の肥厚は見落としやすいため注意が必要である。
    • 縦隔型肺がん: 縦隔リンパ節の経時的増大など、軟部組織の変化にも注意を払う必要がある。
  • 比較読影の徹底:
    • 「陳旧性陰影」と判断した場合でも、過去の画像がある場合は必ず比較読影を行い、増大がないかを確認する。
  • 多発病変の確認:
    • 一つの結節を指摘した際、他の部位に別の結節が出現していないか、全肺野をくまなく観察する必要がある。

肺内リンパ節の所見(症例画像で提示あり)

 呼吸器内科で時々遭遇するCT所見に、「葉間胸膜に、数mm程度の辺縁が整で三角形・楕円形・レンズ様の充実型結節に遭遇することがあります。

 この改訂第6版を読む前までは、”炎症性結節だろう”と流していましたし、読影レポートでも詳しく読影されることはほとんどありません。

 この改訂第6版では、この結節について「肺内リンパ装置(肺内リンパ節)の腫大」を疑う所見が提示されており、大変参考になりました。

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