【はじめに】
医学生や初期研修医の先生方から、「呼吸器内科医になって良かったと思うことについて教えて欲しい」という趣旨の質問を受けることがあります。
将来の進路に悩む若い先生から質問を受けることが多いです。
そこでこの記事では、呼吸器内科医になって良かったと感じていることをまとめていきます!
急性期総合病院で勤務してきた呼吸器専門医の個人的な経験と意見を元に記事にするので、必ず若い先生方の参考になるはずです!
呼吸器内科医になって良かったこと
1)多岐にわたる病態、疾患を経験できる
2)珍しい疾患、難病を経験することができる
呼吸器内科では頻度の多い病態として、悪性腫瘍(肺がんなど)、肺感染症、喘息やCOPD、間質性肺炎、胸膜疾患(気胸、胸膜炎、膿胸など)といった幅広い病態を診ることができます。これらの疾患を診療する際には、アレルギー、免疫、膠原病分野にも知識が必要になります。
また、他科の疾患で診療をしてきた中で肺に合併症、問題を生じてくることが多いため、他の疾患についての概要も知っておく必要があります。
また臨床医としては一般的に出会う頻度が少ない国指定の難病に出会うことも時々あります。
呼吸器内科医に求められる病態、疾患の幅は多岐にわたるため、知的好奇心が高い方、勉強をすることが好きな方、色々な病態を診たい方にとっては、飽きることがない診療科で、大変お薦めです!
3)総合内科医的な視点から診療をすることができる
上記のように幅広く全身を診ていく必要があります。呼吸器内科は、総合内科的な要素が強い診療科です。
私は、全身をマネジメントできる医師になりたかったので、呼吸器内科を専門に選んで良かったと感じています。
4)患者、家族と関わりながら診療ができる
呼吸器疾患は慢性疾患になることが多いので、患者さんとの長期的な関係を築くことができます。患者さんの状態の変化を長期的に見守り、治療方針を一緒に決めていくことできる診療科です。
5)咳、息切れ、痰などのQOLに直結する症状を改善できた時は嬉しい
呼吸困難や咳など、患者さんの苦痛を軽減できると、日常生活の質を大きく向上させることができます。特に、治療効果が現れたときの患者さんの笑顔は、医師としての大きな喜びになります!
しばしば、治療をしても手遅れで、効果が乏しく、どうすることもできない患者さんにも出会いますが、少しでも対応が出来て感謝されると嬉しいです。
6)多くの医師、コメディカルの協力を得ながら診療ができる
呼吸器内科は、主に呼吸器外科医、放射線科医、病理医、薬剤師、看護師、リハビリ、メディカルソーシャルワーカーなど、多くの職種と連携して診療を行っていきます。一丸となって患者さんの治療を行い、診療が進んでいくと嬉しいですよ。
7)最新の医療に触れ、学びながら診療ができる
呼吸器内科の分野では、日々新しい治療法や診断法が開発されています。例えば、ここ数年の肺がんの薬物療法の発展は目覚ましいものがあります。すぐにガイドラインも更新され、追いついていくのも大変です。
世界で開発されている最新の医療、トピックスに触れながら、実際に診療をすることができます。
8)急性期~慢性期・終末期まで担当することができる
救急外来では急性呼吸不全などを含めた全身管理を行います。診断から治療、病状の進行期、最期のお看取りまで一貫して患者さんを診ることができる診療科です。
9)胸部画像の読影に強くなる
10)呼吸器疾患を診ることができる医師は想像以上に少なく重宝される
11)呼吸器疾患をマネジメントできる医師が少ない
12)呼吸器専門医が少ないため、助けや相談を求められる機会が多くやりがいを感じる
全国的にみて呼吸器内科は医師不足の診療科です!
特に、田舎や地方になると更に顕著になります。肺の疾患や病変で悩む患者はとても多く、他の先生も対応に困る分野です。
急性期総合病院では、多くの相談を受けますので、日々やりがいを感じながら仕事ができます!
13)他の内科医より感染症診療に強くなる
例えば結核診療、真菌感染症、ウイルス感染などの肺感染症を対応する機会があり、感染症診療に強くなります。
14)気管支鏡検査が楽しい
日々の診療の中で楽しいことが見つかるといいと思います。呼吸器内科といえば気管支鏡検査ですが、私は気管支鏡検査が好きなタイプです。例えば、難しそうな末梢の肺野病変に対する気管支鏡検査で、診断がつくと、嬉しく感じます。なかなかうまく診断に至らないこともありますが、手技の上達を実感すると楽しいです。
15)転職をする際に選択肢が多い、困らない
呼吸器内科医は数が少なく、一方で呼吸器症状で困っている方が多いため、勤務先には困ることがありません。
実際、私は転職活動をしましたが、呼吸器内科医の需要は高いので、転職活動はし易かったです。
まとめ
今回は私自身が呼吸器内科医になってみて良かったと感じていることを記事にしてみました。
もちろん、忙しい診療科の1つですし、診療をしても助からない症例も多い診療科ですが、患者さんと深く関わり、その人らしい医療を提供できる魅力的な診療科です。この記事を読んでみて、呼吸器内科に興味を持たれた方は、呼吸器内科医の先生に話を聞いてみてください!