【はじめに】
初期研修医2年目になると、初期研修終了後の進路を決めていく必要があります。
いよいよ医師としての専門分野を深めていくための研修先の病院を選ぶ時期になります。
この選択は、今後の若手医師の人生を大きく左右する重要な決断になります。途中で進路変更はできますが、できるならスムーズにキャリア形成をしていきたいところです。
この時期は、本当に多くの研修医の先生方が悩む時期です。私自身も相当悩みましたから、昔の自身をみているようで懐かしく感じます。
下記のような疑問、不安を抱かれている若手医師の方は多いです。
- 後期研修先の病院はどのように選べばいいの?
- 内科系の専門医プログラムを選ぶ際のポイントはどこ?
- どのようなことを意識して研修先の病院を選べばいいか知りたい
- 指導医からみた病院選びのポイントを知りたい
- 研修病院選びの具体的な体験談を知りたい
この記事では、(内科系を志望する)初期研修医の先生方に、後期研修病院を選ぶ際の重要性と、具体的なポイントについて解説していきます。10年以上のキャリアがある内科医の視点や経験談もまじえて解説するので、とても有益な記事になります!ぜひご参考にください!
後期研修先の病院選びの重要性
初期研修期間2年が終了してから、どのように医師としてのキャリアをスタートするかの重要なタイミングです。初期研修も重要ですが、それ以上に、医師3年目~5年目に、どのように過ごすのかは重要であり、将来の医師そのものを作る重要な期間だと断言できます。
この期間が、若い先生方の医師としての基本となってきます。
医師としての専門性を高め、将来のキャリアを築く上で非常に重要な期間です。この期間にどのような経験を積むかは、専門医取得、研究活動、臨床医としての成長など、様々な方面に影響を与えるので、重要です。
研修病院・専攻医プログラムを選ぶ際のポイント
それでは、本題に入っていきます。
この記事では、一般的な研修先を選ぶポイントに加え、私の勤務医経験も含めてまとめます!
まずは自分のキャリアプランを計画してみよう!
すでに専門にしたい分野が決まっている先生は、その進路を実現できるような適切な環境や研修先の病院を探していきましょう!
一方で、明確に決めることができていない先生も多いと思います。このような場合には、将来の進路を柔軟に変更できるような進路、環境を選ぶことを個人的にはお薦めしています。
キャリアプランを考える際には、下記のことを考えてみるのがお薦めです!
・希望する専門分野、興味がある分野は?
・自身の能力、性格、体力、意欲を自己分析する
・大学医局に所属するか、しないか
・医師としての将来像、理想像
・将来のプライベートの見通し(結婚、出産、育児、趣味や余暇の過ごし方)
・勤務する場所(地元、出身大学、縁がある地域、無関係の地域にするか)
・両親の意向
・自身を取り巻く環境
・なぜ医師になろうと思ったのか?
以上のようなことを、時間がある時にゆっくりと考えてみてください!
色々な人に意見を求めることも大切ですが、自身の医師人生なので、最終的には自身がどのように医師としてのキャリア形成をしていきたいのかが進路決定には重要です。
紙に書いてまとめていきしょう。
専門医研修で求めるものを考える
上記の志向するキャリアプランに合わせて研修先、進路を決めていきましょう!
その上で、初期研修終了後の数年間をどう過ごしていくのかを考えていきます。
・専門性を早く習得したい
・まずは医師としてのベースを作りつつ、同時に専門医研修もしていきたい
・まだ進路が決まらずひとまず専門医研修を進めたい
・症例が経験でき、自己研鑽していける環境に身を置きたい
・あまり忙しすぎずじっくりと研修をしていきたい
・仕事と割り切って働きたい
・待遇、プライベートも重視していきたい
など多様な価値観があると思います。自身が後期研修でどのようなことを大事にしたいのか、求めることを考えましょう。
勤務環境の確認
「実際に就職した時に、自身が働いているイメージ」をしてみましょう。
例えば下記のような点です。
- 当直回数
- 救急外来
- 希望する診療科の状況
- 外来業務
- 休暇や福利厚生
- 待遇、時間外勤務
- 病院の雰囲気や特徴
- 都会か地方か
- 大学医局との関係性
- 勉強会の開催
などなど、気になることは、実際に勤務する先生に質問してみましょうね!
候補の病院をいくつかリストアップし情報収集をする
自身のキャリアプランを元に、希望を満たす研修ができそうな病院をリストアップしてきましょう。
その際には、上記以外にも、下記のような項目を比較、検討していくのがいいでしょう。
専門分野と指導医
- 自分の興味のある分野: 希望する診療科を中心に検討しましょう。内科系と決めていても具体的な進路については決めることができない先生方も多いと思いますので、その場合には、内科系の各診療科が揃い、偏りなく症例を経験できる研修先を選ぶといいです。内科専門医には幅広く症例を経験しレポートを作成する必要があります。
- 指導医: その分野の専門医としての経験や実績、指導医としての評判もみてみましょう。
- 指導体制: ひとりひとりの研修医に目が行き届くような指導体制が整っているか確認しましょう。ただし、現実的には、医師が少ない病院や、診療科では、業務で忙しく、手厚く指導を受けることができないこともよくあります。どのような環境で研修をしたいかを考えておきましょう。
研修内容とカリキュラム
病院によって内科専攻医のプログラムの特徴が大きくことなります。例えばローテートが長期間必須の病院もありますし、ローテートせずに希望する専門科研修を中心に過ごす病院もあるので、要確認です!
- 症例数: 豊富な症例を経験できることは、専門医としての成長に不可欠です。症例レポートも作成する必要があります。
- 手技習得: 必要な手技を習得できる機会があるか確認しましょう。
- 研究環境: 研究に興味がある場合は、研究環境が整っているか確認することも重要です。
労働環境
- 勤務時間: 当直回数やオンコール体制などを確認しましょう。
- 休日: 休暇の取得については確認しておきましょう。
- 福利厚生: 住宅手当や、個人の場合によっては育児支援制度などの福利厚生も確認しましょう。
病院の雰囲気
- 風通しが良いか: 上司や同僚との人間関係が良好で、風通しの良い職場かどうか確認しましょう。診療科同士の関係性が悪い病院で研修をすると、大変です・・・。
- 教育体制: 勉強会の開催、若手医師の育成に力を入れている病院かどうか確認しましょう。
- 病院の規模: 大規模病院、中規模病院、小規模病院それぞれに特徴があります。自分の希望に合った規模の病院を選びましょう。
専門医研修を終えた後のイメージがわくかどうか
- 専門医取得: 希望する専門医を取得できる可能性があるか確認しましょう。
- キャリアアップ: 将来的にどのようなキャリアを歩みたいか、そのキャリアパスが描ける病院かどうか確認しましょう。
- 地域医療: 地域医療に関心がある場合は、地域医療に力を入れている病院を選びましょう。
まとめ
この記事では、(内科系を志望する)初期研修医の先生方に、後期研修病院を選ぶ際の重要性と、具体的なポイントについて解説しました。
後期研修先の病院選び、専門医プログラム選びは、医師としての将来を左右する重要な決断です!
まずは、先生方が、どのような医師になりたいのか、キャリアを形成したいのか、どのように仕事をしていきたいのかといった根本的なところをしっかり考えてみましょう。その上で将来の選択をしていけばスムーズだと思います!
悩まれている先生方が、先生方の価値観に合った研修先の病院、専門医プログラムを選ぶことができて、充実した研修・医師人生になれるように応援しています!