初期研修医・内科専攻医の先生方へ——
「自分はどの専門に進むべきか」、この問いに悩まない医師はほとんどいないでしょう。
自由に進路を選べる時代だからこそ、逆に迷いが深くなりますよね。
私自身も、内科系に進むことは早くから決めていましたが、どの専門領域にするかは相当悩みました。
そんな経験があるからこそ、今も進路に悩む先生方の話を聞くと、あの頃の気持ちが蘇ります。
この記事では、私が呼吸器内科を専門に選んだ理由と経緯を、体験談ベースで正直にお伝えします。
同僚の呼吸器内科医たちの声もあわせて紹介しますので、ぜひ進路選択の参考にしてください。
この記事でわかること
- 私が呼吸器内科を考え始めたきっかけ(3つのエピソード)
- 呼吸器内科を最終的に選んだ理由
- 他の呼吸器内科医が専門医を選んだ理由
- 呼吸器内科の魅力(別記事の紹介)
私が呼吸器内科を考え始めた3つのきっかけ
「なぜ呼吸器内科?」と聞かれると、一言では説明しにくいのが正直なところです。
私の場合は、きっかけは複数あり、それが重なって進路が定まっていきました。
① 医学部実習での”第一印象”
臨床実習で呼吸器内科をローテートしたとき、指導医の先生方が気さくで温厚な方が多く、診療科の雰囲気が良かったことが最初の印象でした。
特に印象的だったのは、気管支鏡検査を楽しそうにチームで行っているシーンです。
「こういう職場なら楽しく働けそうだ」と漠然と感じたのを今でも覚えています。
呼吸器内科は”内科医らしい内科”という印象で、幅広い疾患を診る総合診療医的な側面に魅力を感じました。
② 初期研修でのローテーション——不人気科での”やりがい”
研修先の病院では、呼吸器内科はどちらかというと不人気科でした(笑)。
個性の強い先生が多く、研修医から敬遠されがちな診療科でした。
ただ、私の担当指導医は「ホウレンソウをしっかりやれば、あとは自分の裁量でやっていい」というスタンスで、研修医でも主治医として責任感を持って診療できる環境でした。
患者さんを自分で診ているという実感はモチベーションになりましたし、患者把握が不十分なときは厳しく指導してもらい、それもまた成長につながりました。
診療科としての雰囲気は”不人気”でも、仕事の内容には確かな手応えと好感を持ちました。
③ 肺癌治療の革新期という”時代の波”
初期研修中、ちょうど免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ)が日本で承認され、大きな話題になっていました。
肺癌領域は他の固形がんに先行して免疫療法が導入され、EGFR遺伝子変異に対する分子標的薬の開発も加速していた時期です。
| 当時の革新 | 内容 |
|---|---|
| 免疫チェックポイント阻害薬 | ニボルマブが肺癌に承認(2015年)、予後改善が現実に |
| EGFR阻害薬の進化 | 第1〜3世代と急速に進歩、個別化医療の先駆け |
| 遺伝子パネル検査の普及 | 肺癌をきっかけに精密医療が全がん種に広がる流れ |
「これから肺癌の診療が大きく変わっていく」——
そのダイナミックな変化の中に身を置いて臨床医ができる、という期待感が、呼吸器内科を本格的な選択肢として意識させてくれました。
最終的に呼吸器内科を選んだ理由——総合的な判断
上記の3つのきっかけが重なり、呼吸器内科を選ぼうと考え始めました。
最終的な決め手は、以下の要素を総合的に判断した結果です。
| 判断軸 | 詳細 |
|---|---|
| 社会的ニーズ・医師不足 | 呼吸器内科医は全国的に不足しており、キャリアに困らない |
| 診療の幅広さ | 感染症・COPD・肺癌・間質性肺炎など多岐にわたる |
| 急性期〜慢性期の対応 | 救急対応から在宅まで継続的に関われる |
| 適度な手技 | 気管支鏡・胸腔穿刺など手技があり、満足感もある |
| 総合内科的側面 | 内科医としての幅広い視野が鍛えられる |
| 開業の選択肢 | 将来の開業・クリニック勤務も視野に入れられる |
呼吸器内科医になって10年以上が経ちますが、「あのとき選んで正解だった」という思いは今も変わりません。
患者さんと長く向き合い、幅広い疾患に対応しながら、医学の最前線も感じられる——
呼吸器内科はそんな診療科です。
他の呼吸器内科医が専門を選んだ理由——リアルな声
私の体験談だけでなく、これまで出会った呼吸器内科医の先生方から聞いた「選んだ理由」をまとめました。多様な動機があることがわかります。
| カテゴリ | 理由・コメント |
|---|---|
| 診療スタイル | 「総合診療医に近く、全身を診たかった」「患者さんとじっくり向き合える」 |
| ワークライフバランス | 「循環器ほど夜間緊急が多くない」「オンオフのメリハリをつけやすい」 |
| キャリア・将来性 | 「医師不足で働く場所に困らない」「将来的に開業の選択肢もある」 |
| 学術・研究 | 「病態解明が進んでいない分野で研究したかった」「肺癌領域の進歩に魅力を感じた」 |
| 手技・技術 | 「気管支鏡が楽しそうだった」「診療と手技のバランスが良い」 |
| 人・縁 | 「上の先生に熱心に誘われて嬉しかった」「先輩が呼吸器内科医だった」 |
| 個人的動機 | 「自分が気管支喘息持ちで、患者さんの気持ちがわかる」 |
進路を決めるきっかけは人それぞれ。
「完璧な理由」がなくても大丈夫です。
大切なのは、自分が納得して踏み出せるかどうかだと思います。
呼吸器内科の魅力——専門医10年以上の実感
呼吸器内科の魅力については、別記事で詳しくまとめています。あわせてご覧ください。
まとめ
この記事では、以下の内容をお伝えしました。
- 私が呼吸器内科に興味を持ち始めた3つのきっかけ(実習・研修・時代背景)
- 最終的に選んだ理由(社会ニーズ・診療の幅・手技・将来性の総合判断)
- 他の呼吸器内科医のリアルな声(多様な動機がある)
進路選択に「正解」はありません。ただ、他の医師がどう考え、どう選んだかを知ることは、自分の決断をするうえで大きな助けになります。
この記事が、進路に悩む先生方の一助になれば幸いです。呼吸器内科への進路を考えている先生はぜひ、関連記事もあわせて読んでみてください。
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