【医師転職6ヶ月の体験談】三次救急病院を離れた呼吸器内科医の本音|後悔・年収・専門性の変化

PR 本記事はプロモーションを含みます。一部にアフィリエイトリンクを掲載しており、リンクを経由してサービスの利用や申し込みがあった場合、筆者に報酬が発生することがあります。読者の方に追加費用が発生することはありません。紹介内容は、筆者自身の経験と調査に基づいています。

この記事を書いた人:呼吸器専門医・総合内科専門医・がん治療認定医として働きながら2児を育てる勤務医です。昨年に三次救急病院から地域病院へ転職。本記事は転職から6ヶ月を迎えた時点のリアルな経験談をまとめています。転職後のリアルな実体験が、同じように悩む先生方の参考になれば幸いです。

「転職して、本当に良かったですか?」

今そう聞かれたら、私はこう答えます。

転職6ヶ月後の結論

「転職して良かったです。家族との時間が増え、心身の負担も減り、仕事も想像していた以上に前向きに続けられています。ただし、何も失わなかったわけではありません」

私は救命救急センターを備えた三次救急の総合病院で、重症呼吸不全、肺がん、気管支鏡検査、救急診療に携わってきました。
地域の病院へ転職後、生活は大きく改善しました。
しかし、良いことばかりではありません。
正直に言えば、転職後の数ヶ月は、呼吸器専門医としての存在意義を見失いかけた時期がありました。
頭では理解していたはずの変化も、現実に直面すると、想像以上に戸惑いを伴いました。

この記事では、医師転職の成功談だけでは見えにくい、転職後に生じた迷い、専門性を失う怖さ、年収と働き方の変化、そして新しいやりがいを見つけるまでの6ヶ月のリアルな体験談を正直にお伝えします。

急性期病院を離れるか迷っている先生、当直や呼び出しと子育ての両立に限界を感じている先生、専門性とワークライフバランスの間で揺れている先生に、一人の呼吸器内科医の実体験として読んでいただければと思います。

目次 閉じる

  1. 先に結論|転職して6ヶ月、後悔しているのか
  2. 転職前、何に限界を感じていたのか
  3. 転職で優先した3つの条件|キャリアアップが最優先ではなかった
  4. 転職後の変化を比較|当直・呼び出し・年収・家族時間
  5. 転職後に失ったもの|呼吸器内科医としてのキャリアが細くなる怖さが生じた
  6. 方向性を取り戻した転機|患者さんと職場からの相談
  7. 急性期を離れて分かった「別の呼吸器専門医の役割」
  8. 転職後に始めたこと
  9. 地域の病院で実際にしている仕事
  10. 意外だったのは、呼吸器を学び直せていること
  11. 専門医としての市場価値をどう守るか
  12. 医師転職エージェントを使って分かった、本当の価値
  13. 転職前に確認すべきこと|私が甘く見ていたポイント
  14. 転職を迷っている医師へ|後悔を減らすチェックリスト
  15. よくある質問|急性期病院から地域病院への医師転職
  16. まとめ|転職は、失ったものと得たものの交換だった
  17. 「今すぐではないけれど、選択肢は知っておきたい」先生へ

先に結論|転職して6ヶ月、後悔しているのか

結論から言えば、転職そのものを後悔していません。

呼吸器診療を続けながら、家族と過ごす時間や、夜間の電話を気にせず眠れる生活、無理なく働き続けるための心身の余裕を得られたからです。

一方で、急性期病院を離れたことで、確実に失ったこともあります。

つまり、私の転職は「すべてが良くなった」という話ではありません。

何を守るために、何を手放すのかを決めた転職でした。

そして6ヶ月たった頃には、急性期で磨いた専門性を失ったのではなく、地域医療のなかで別の形に使い直していると考えられるようになりました。

転職前、何に限界を感じていたのか

誤解のないように書くと、前の職場の仕事が嫌いだったわけではありません。

3次救急病院の急性期の呼吸器診療は充実していました。
重症患者の状態を立て直し、気管支鏡で診断にたどり着き、肺がんの治療方針を組み立てる。
難しい症例に向き合う緊張感と、そのぶんだけのやりがいがありました。

それでも、少しずつ負担が積み重なっていました。

制度上は休みでも、心が休まらなかった

実働している呼吸器専門医が限られている職場でした。

夜間や休日、当直の先生が呼吸器症例の判断に迷ったとき、電話がかかってくる先が私になる。
正式なオンコール当番ではありません。ただ、「この先生なら電話をかけやすい」という状態が、いつの間にか常態化していました。

救急外来で、当直中の先生から「診てほしい」「対応に困っている」と連絡があれば、簡単には断れません。
時間外出勤することもありましたが、そのたびに家族の予定を変え、妻の負担を増やしていました。

制度上は休日でも、心のどこかで電話を気にしている。

家庭の状況をみながら、病院にいない時間まで仕事の緊張が続く状態は、想像以上に消耗しました。

子育ての負担が、妻に偏っていた

我が家は、近くに頼れる親がいない環境で2人の子どもを育てています。

定時で帰れない日のほうが多く、通勤は片道40〜50分。
家に着く頃には、子どもの夕食はすでに終わっていました。
家族とは別に、父親ひとりで夕食をとる日のほうが多かったのです。

私が仕事を頑張るほど、子育てと家事の負担は妻に集中していきました。

仕事にはやりがいがある。それでも、この働き方を続ければ、家族の誰かが無理をし続けることになる。

子どもたちに最も手がかかる時期を犠牲にしてまで、この働き方を続けた先に、自分や家族が幸せでいられる未来を想像できませんでした。

それが、働き方を変えなければならないと思った大きな理由のひとつでした。

転職で優先した3つの条件|キャリアアップが最優先ではなかった

転職活動を始めるとき、私は「手に入れたいもの」と「諦める可能性があるもの」を決めました。

当時の私は、1と2を優先しても、3は自然についてくると考えていました。

「呼吸器疾患はどの病院にもいる。診療内容は変わっても、専門医としての仕事はどこでもできるだろう」

そう楽観していたのです。

同じ「呼吸器診療」でも、病院の機能によって経験できる症例、検査、治療は大きく異なります。

この当然の事実に対する見積もりの甘さが、転職後の葛藤につながることになりました。

転職後の変化を比較|当直・呼び出し・年収・家族時間

転職前後の変化を、できるだけ具体的にまとめます。

前職の年収には、日当直手当と時間外手当が含まれていました。

そのため、転職後は夜間労働が大きく減ったにもかかわらず、年収は1割以上増えたことになります。

転職後に失ったもの|呼吸器内科医としてのキャリアが細くなる怖さが生じた

生活は明らかに良くなりました。

ところが、仕事の面では、転職直後から喪失感がありました。

気管支鏡、肺がん診療、重症呼吸不全が日常から消えた

転職して最初に実感したのは、これまで呼吸器診療の中心だった気管支鏡検査が激減したこと、肺がんの診断・治療導入がなくなったこと、重症呼吸不全の救急対応から離れたことでした。

毎月組んでいた気管支鏡検査の予定が、自身のカレンダーから消えました。

近隣の医療機関から精査加療目的に紹介される難症例もなくなりました。

肺がんの薬物療法のレジメンを組み、治療効果と有害事象を見ながら次の一手を考えることも、今はありません。

技術は、使わなければ落ちます。

それが分かっているだけに、こたえました。

初期研修を終えてから積み上げてきた「呼吸器内科医としてのキャリア」を、ひとつずつ手放していくように感じていたのです。

「これは、私でなければならない仕事なのか」

技術の話だけなら、まだ整理できました。

本当につらかったのは、日々の診療の意味を見失いかけたことです。

転職後、私が主に担当したのは、急性期治療を終えて転院してきた患者さんでした。

治療自体はうまくいっていても、入院中に廃用が進み、自宅へ帰ることが難しくなっている。
脳卒中や心不全の治療後にリハビリを続ける。
がんが進行し、治す医療から苦痛を和らげる医療へ移っていく。

特に転職した直後は、自身が担当する呼吸器系の患者さんがいなかったことも、専門医としての存在意義を揺るがす要因になったのだと思います。

転職後に浮かんだ本音

「これは、私でなければならない仕事なのだろうか」

呼吸器専門医として、第一線の肺がん治療に携わってきた医師として、10年以上積み上げたものは、ここで何の役に立つのだろうか。

正直に言えば、「仕事がつまらない」と感じた日もありました。

家族との時間を得た代わりに、医師としてのやりがいを失ったのではないか。
急性期を離れた選択は、キャリアから逃げただけではなかったか。

転職後の数ヶ月は、その現実から来る問いにうまく答えられませんでした。

方向性を取り戻した転機|患者さんと職場からの相談

呼吸器内科医としての方向性を取り戻したきっかけは、劇的な出来事ではありません。

外来で、呼吸器疾患に困っている患者さんを一人ずつ診療したことでした。

  • 長年、咳が続いている方
  • 最近になって咳が悪化し、日常生活に支障が出ている方
  • 喘息の治療を続けても、症状が安定しない方
  • 胸部X線の異常を指摘されたものの、どこへ相談すればよいか分からない方
  • 在宅酸素療法の導入や調整が必要な方

そして、院内の医師やスタッフから相談を受ける機会も、少しずつ増えていきました。

「この胸部CTの陰影を、どう読みますか」

「肺炎が長引いています。抗菌薬はこのままでよいでしょうか」

「この方の呼吸管理は、どこまで踏み込むべきでしょうか」

「外来で咳が続いて困っている方がいます。診てもらえませんか」

「呼吸器専門医の診察を希望されています」

医師だけではありません。看護師、リハビリスタッフ、薬剤師からも少しずつ声をかけられるようになりました。

急性期病院にいた頃、呼吸器内科医が日常的に行っていた診療は、自分にとって「できて当たり前」のものでした。

しかし環境が変わると、それが決して当たり前ではないと気づきました。

胸部画像を読み、呼吸状態を評価し、肺炎の治療方針を見直し、吸入薬や酸素療法を調整し、必要な患者を適切なタイミングで高次医療機関につなぐ。

こうした標準的な呼吸器診療を、一つの病院のなかで継続的に提供することにも、専門医としての明確な価値がありました。

「呼吸器専門医だからこそ担える仕事」は、派手ではなくても、目の前にちゃんとありました。

急性期を離れて分かった「別の呼吸器専門医の役割」

急性期の治療が終わっても、患者さんの呼吸器の問題が終わるわけではありません。

  • 在宅酸素療法を、生活に合わせてどう調整するか
  • NPPVやHFNCを導入した患者を、長期的にどう支えるか
  • 慢性呼吸不全の呼吸困難を、どのように緩和するか
  • 誤嚥性肺炎を繰り返す患者の次の一手を、どう考えるか
  • 肺がん患者の疼痛や呼吸困難に、どう向き合うか
  • 急性増悪をどこまで院内で治療し、いつ高次医療機関へつなぐか
  • 病状が進行したとき、本人や家族と治療の目標をどう共有するか

どれも、簡単な判断ではなく、知識と経験が必要となります。

急性期病院で磨いたこと

診断する
治療を始める
救命する

地域病院で学んでいること

治療を続ける
生活へ戻す
苦痛を減らす・最後まで支える

どちらが上で、どちらが下という話ではありません。

医療の時間軸が違うだけで、どちらにも専門性が必要です。

データで見る呼吸器内科医の分布

厚生労働省の2024年統計では、医療施設に従事する医師33万1,092人のうち、呼吸器内科を主たる診療科とする医師は7,271人(2.2%)でした。内訳は病院6,231人、診療所1,040人です。

これは「呼吸器専門医」の人数ではありませんが、地域のすべての医療機関に呼吸器内科医がいるわけではないことが分かります。
出典:厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計」

急性期を終えた後の呼吸器ケアを専門医の水準で支え、院内の呼吸器診療の幅を広げる。

それもまた、地域医療への貢献だと考えられるようになってから、迷いは少しずつ小さくなりました。

転職後に始めたこと

転職後は、目の前の診療だけでなく、病院全体の呼吸器診療を少しずつ整えることにも取り組みました。

転職後、実際に取り組んだこと

  • 呼吸器専門外来で、長引く咳や喘息、COPD、間質性肺疾患を診る
  • 診療の幅を広げるため、肺機能検査などを導入する
  • HFNC、NPPV、在宅酸素療法などの呼吸管理を整備する
  • 咳・息切れの問診票や、吸入薬の説明資料を作る
  • 胸部画像、抗菌薬、酸素療法、呼吸管理について院内相談を受ける
  • 肺がん患者、その他のがん患者の緩和ケアの拡充と意思決定支援に関わる

院内の環境、仕組み、職員の知識を整えれば、自分が直接診ていない患者にも専門性を還元できます。

以前の私は、このような視点や姿勢をもつことができませんでした。

専門性には「自分で高度な診療をする力」だけでなく、「周囲がより良い診療をできる環境をつくる力」も含まれる。

地域の病院で実際にしている仕事

呼吸器以外の疾患も広く診る

前職では呼吸器診療が中心で、専門外の問題は他科へ相談、依頼できる環境でした。

今は、呼吸器疾患だけでなく、対応できる範囲で一般内科診療も担います。

外来では、開業医に近い幅広い内科診療に、呼吸器専門医としての診療を組み合わせています。
入院では、呼吸器疾患に加え、脳卒中や心不全治療後の療養とリハビリ、がんの緩和ケアにも積極的に関わっています。

私はもともと総合内科的な診療に抵抗がないため、内科医としての幅を広げる機会と捉えて自己研鑽しています。

慢性期・終末期の呼吸管理を担う

急性期病院にいると、転院後の経過を長く診る機会は多くありません。

今は、NPPVや在宅酸素療法を導入して転院してきた患者の長期管理、慢性呼吸不全の呼吸困難への対応、進行がん患者の疼痛や呼吸困難の緩和を担っています。

救命だけではなく、「その人がどのように過ごしたいか」を考えながら呼吸を支える診療です。

これは、急性期病院にいた頃には十分に経験できなかった領域でした。

他の医師や多職種からの相談を受ける

胸部CT所見、抗菌薬選択、酸素療法、呼吸管理、呼吸器疾患全般の方針について、院内の相談を受けます。

頼られる機会が増えるにつれ、「この病院の呼吸器診療に貢献したい」と自然に思えるようになりました。

転職直後に失いかけた専門医としての存在意義を、職場の人たちがもう一度見つけさせてくれたのだと思います。

設備が限られていても、標準的な呼吸器診療はできる

今の病院には三次救急病院のような高度医療設備はありません。
肺がんの薬物療法や、最重症の呼吸不全管理には対応できません。

一方で、呼吸器内科は、血液検査、CT、肺機能検査、心機能評価などができれば、例えば喘息、COPD、間質性肺疾患、肺炎、慢性気道感染症、慢性呼吸不全といった多くの呼吸器疾患を診療することができます。

「高度急性期病院を離れる=呼吸器専門医として何もできなくなる」ではありませんでした。

転職前に注意したいこと

転職先によって設備や診療体制は大きく異なります。求人票の「呼吸器内科を募集」という一文だけで判断せず、実際に何ができる病院なのかを確認する必要があります。

意外だったのは、呼吸器を学び直せていること

転職して意外だったのは、以前より呼吸器を学び直す時間が増えていることです。

急性期病院にいた頃は、目の前の重症患者と次の入院対応に追われていました。
帰宅後は家事と育児があり、一つの疾患や一人の患者について腰を据えて調べ直す余裕は、ほとんどありませんでした。

今思えば、「分かったつもり」で流していたことがたくさんあります。

時間の余裕が生まれたことで、ガイドラインや新しい論文を読み直し、院内資料を作り、日常診療へ落とし込めるようになりました。

症例の重症度や手技の件数だけを見れば、失ったものはあります。

しかし、急性期だけでなく慢性期、終末期、院内教育、診療体制の整備まで含めると、呼吸器専門医としての幅や経験値はむしろ広がっていると感じています。

専門医としての市場価値をどう守るか

転職直後、自信を失いかけていた頃、私は別の不安も抱えていました。

「呼吸器専門医としての強みを失ったら、今後、勤務環境が悪化しても動けなくなるのではないか」

専門性を維持することは、患者や地域のためだけではありません。

自分と家族を守り、必要なときに再び働き方を選べる状態を保つことにもつながります。

現在、意識していること

  • 呼吸器専門外来を継続する
  • 学会、ガイドライン、論文から知識を更新する
  • 一般的な呼吸器疾患の診療水準を落とさない
  • 院内の相談症例を、自分の学びにつなげる
  • 慢性呼吸不全や緩和ケアなど、新しい強みをつくる
  • 高度医療が必要な患者を見極め、適切に紹介する力を保つ
  • 自分の経歴と市場で求められる役割を定期的に確認する

今いる場所で必要とされる専門性を磨きつつ、仕事の幅を拡げ、将来の選択肢が閉じないように意識して働くことが重要だと考えています。

医師転職エージェントを使って分かった、本当の価値

私は今回の転職で、医師転職ドットコムを利用しました。

登録した当初は、正直に言えば「良い求人があれば」という程度の気持ちでした。

実際に一番役立ったのは、求人票そのものではありませんでした。

自分の経歴が、この地域の転職市場でどう評価されるのかを知れたことです。

  • 呼吸器専門医には、どのような医療機関から需要があるのか
  • 年齢と経験年数を踏まえ、どの程度の条件が現実的なのか
  • 当直や呼び出しを減らしても、年収を維持できるのか
  • 一般内科も担えることが、どのように評価されるのか
  • 自分では見つけられない医療機関に、どのような選択肢があるのか

こうした外部の評価を得たことで、呼吸器専門医としての強みを維持する重要性にも気づきました。

転職するかどうかにかかわらず、自分の市場価値や、希望条件の相場を知っておく価値はあります。

自分の優先順位を整理し、求人票だけでは分からない情報を確認し、条件を客観的に比べるために使うものだと感じました。

転職前に確認すべきこと|私が甘く見ていたポイント

3次救急の急性期病院から地域の病院へ移る場合、「呼吸器診療を続けられますか」と聞くだけでは不十分です。

私なら今、次の点まで具体的に確認します。

病院見学・面談で確認したい10項目

  • 呼吸器外来は週何コマで、患者数と主な疾患は何か
  • 気管支鏡検査は年間何件あり、自分が担当できるか
  • 肺がんの診断、薬物療法、緩和ケアのどこまで対応するか
  • 救急搬送と時間外診療を、実際には誰が担当しているか
  • 当直明けの勤務、オンコール、休日の電話対応はどうなっているか
  • CT、肺機能検査、NPPV、HFNCなどの有無、設備があるか
  • 専門外の入院患者をどの程度担当するか
  • 他科や高次医療機関へ相談・紹介できる体制があるか
  • 新しい機器や診療体制を導入する裁量があるか
  • 5年後に、どのような経験が経歴書に残るか

「当直なし」「呼び出しなし」「呼吸器内科募集」と書かれていても、実際の運用は医療機関によって異なります。

求人票の条件だけでなく、病院見学や面談で、転職後の日常を具体的にイメージできるまで確認することをおすすめします。

転職を迷っている医師へ|後悔を減らすチェックリスト

最後に、私自身が「先に考えておけばよかった」と思うことをまとめます。

  • なぜ辞めたいのかを、不満ではなく「望む状態」で言葉にできる
  • 家族の意見を確認した
  • 当直、呼び出し、通勤、年収、専門性の優先順位を決めた
  • 求人票に出ない時間外業務や暗黙の役割を確認した
  • 専門性を発揮する機会が減ったとき、自分がどう感じるか想像した
  • 転職先の症例、設備、診療範囲を具体的に確認した
  • 専門医としての知識と技能を維持する方法を考えた
  • 5年後に再び動く場合、市場価値が残る働き方か検討した
  • 現在の市場価値を、一度は外部から評価してもらった

私が特に甘く見ていたのは、5番(専門性を発揮する機会が減ったとき、自分がどう感じるか想像した)と7番(専門医としての知識と技能を維持する方法を考えた)です。

3次救急病院を辞める時点で、呼吸器専門医としてのキャリアについては、ある程度、仕方がないと思って割り切ることも大事だと思っていました。
しかし、医師にとって、専門性や「自分が必要とされている」という感覚は、想像以上に大きな意味を持ちます。

生活条件だけでなく、転職後にどのような医師でありたいのかまで考えておくことが鍵だと思います。

よくある質問|急性期病院から地域病院への医師転職

Q1. 転職して後悔していますか?

転職そのものは後悔していません。家族との時間、心身の余裕、年収の改善という、転職の最優先目標を達成できたからです。

ただし、気管支鏡、肺がん診療、重症呼吸不全など、失った経験への寂しさはあります。「後悔がない」と「心残りがない」は、同じではありません。

Q2. 当直や時間外勤務を減らすと、年収は下がりませんか?

私の場合は、当直が月3〜4回から月1回に減り、時間外勤務も大幅に減りましたが、年収は1割以上増えました。

ただし、地域、診療科、経験、役職、病院の採用事情で条件は変わります。手当を含む年収だけでなく、実働時間も確認することが重要です。

Q3. 急性期病院を離れると、専門医としてのスキルは落ちますか?

経験しなくなった手技や治療のスキルは、維持しにくくなります。私も気管支鏡や肺がん薬物療法については、同じ水準の実践経験を保つことは難しいと感じています。

一方で、一般的な呼吸器診療、慢性呼吸不全、在宅酸素療法、緩和ケア、院内教育など、別の専門性を磨くことはできます。

Q4. 地域の病院でも、呼吸器専門医として働けますか?

設備と診療体制によりますが、血液検査、CT、肺機能検査などがあれば、多くの標準的な呼吸器診療は可能です。

ただし「呼吸器内科の求人がある」ことと、「希望する呼吸器診療ができる」ことは別です。外来数、症例、検査、治療範囲、高次医療機関との連携を、入職前に確認することが重要です。

Q5. まだ転職を決めていなくても、転職エージェントに相談する意味はありますか?

私は、相談する意味があると感じました。求人を紹介してもらうだけでなく、自分の経験や資格が地域でどう評価されるか、希望条件が現実的かを知る機会になったからです。

ただし、相談したからといって転職する必要はありません。まず情報を集め、今の職場に残る選択肢も含めて考えるのがよいと思います。

まとめ|転職は、失ったものと得たものの交換だった

転職して、家族と過ごす時間が増えました。

夜間の電話を気にする生活から離れ、ほぼ定時で帰れるようになりました。
当直と時間外勤務が減っても、年収は下がらず、むしろ増えました。

その一方で、気管支鏡、肺がん診療、重症呼吸不全、難症例に向き合う機会は減りました。

専門医としての存在意義を見失い、「家族を優先した代わりに、医師としてのキャリアを失ったのではないか」と悩んだ時期もありました。

それでも今は、この場所にも呼吸器専門医だからこそできる仕事があると分かり、充実した生活を送ることができています。

  • 患者さんの呼吸を長く支えること
  • 急性期治療の先にある療養と生活を整えること
  • 院内で頼られ、相談を受け、呼吸器診療の水準を少しずつ引き上げること
  • 周囲のスタッフが、より良い呼吸器診療をできる仕組みをつくること

それは地域医療への貢献であり、同時に、自分の専門性を守ることでもあります。

転職は、何も失わずにすべてを得る選択ではありません。

何を守りたいのかを決め、そのために何を手放せるのかを考える選択です。

私の場合、守りたかったのは、家族との時間と、医師として無理なく働き続けられる生活でした。

転職から6ヶ月を迎えた頃には、その選択は間違っていなかったと思っています。

この記事が、働き方と専門性の間で迷っている先生にとって、ご自身の優先順位を考えるきっかけになれば幸いです。

「今すぐではないけれど、選択肢は知っておきたい」先生へ

私が救命救急センターのある総合病院を離れる際に利用したのが、医師転職ドットコムでした。

私にとって最も役立ったのは、求人を紹介されたこと以上に、自分の経歴が地域の転職市場でどう評価されるかを知れたことです。

登録・相談は無料です。私が利用した範囲では、強引に転職を勧められることもありませんでした。

転職を決めていなくても、情報収集から始められます

自分の経験・資格が、地域でどう評価されるか確認してみる

登録や相談をしても、必ず転職する必要はありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA



reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。