【はじめに】
将来、内科系に進もうと考えているけど、専門科を決めきれず日々悩んでいる先生は多いです。
どうにかして、悩んでいる若い先生方のお役に立ちたいな!と思い記事を書いてみます。
「どの内科を専門にしようか迷っている。決めることができない」
「呼吸器内科に進もうか迷っている」
「呼吸器内科に向いているかどうか知りたい」
この記事では、このような若い先生に向けて、呼吸器内科医に向いている先生の特徴を解説してみます!
この記事を読むことで、呼吸器内科に向いているかどうか、呼吸器内科を専門にするかどうかの判断をすることができるようになります!
この記事は、急性期病院で10年以上の呼吸器内科診療をしている私が感じたことや、経験を踏まえ、独自の視点でまとめてみます!
進路に悩んでいる先生方のお役に立てることができれば幸いです!!
呼吸器内科医に向いている先生の特徴14選!
1)呼吸器内科での研修に良いイメージがある
研修医として実際にローテートしてみて、肌に合うか合わないかは将来の専門の選択に重要だと思います。「良い研修ができた」、「達成感を感じた」、「担当医として上級医の先生と良い診療ができた」、「担当患者さんからお礼を言われて嬉しかった」など、些細なことでも良いと思います!
そして、研修中には、呼吸器疾患で入院する患者数が多いことを感じるはずです。他科から呼吸器疾患の相談を受けている呼吸器内科医の姿を見ることがあると思います。高齢者や、病気が進行してくると、経過中に呼吸器系に問題を抱える患者さんは本当に多いことに気が付くと思います。
呼吸器内科医は、圧倒的な患者数の多さの割に少なく、頼りにされ、やりがいがある診療科です。
このように、少しでも良いイメージがあれば、意外とあっているのかもしれませんよ!
2)全身を診ることができる内科医になりたい
呼吸器内科は、内科の各診療科の中でも、内科医らしい診療科です。
現代の医療は各診療科に細分化されていますが、呼吸器内科は、カバーする疾患の特性や、病態が多いことから、総合内科的な側面を大きくもっている診療科です。
個人的な意見ですが、循環器内科や消化器内科は手技や処置がメインとなる診療科です。呼吸器内科でも手技や処置はありますが、これらの診療科よりも、より内科医らしい診療科だと思います。
総合内科医の視点で診療をしていきたい先生、全人的な診療をしていきたい先生にはお薦めの診療科だと思います!
3)各分野のスタッフと力を合わせて診療をしたい
呼吸器内科では例えば肺癌、間質性肺炎、誤嚥性肺炎などの終末期を診ます。その過程では、看護師、リハビリ、栄養士、メディカルソーシャルワーカーといった院内スタッフ以外にも、開業医や在宅診療医、訪問看護担当者とも協議しながら退院調整をすることがあります。
呼吸器内科は、終末期対応をすることが多い診療科であり、様々な関係者と協力して診療をする機会が多い科だと思います。多職種と関わりながら診療をする機会が多いです。これからの時代のニーズに合った診療科だと感じています。
4)急性期から慢性期、終末期まで全てに対応できる医師になりたい
5)内科医になりたいけど、なかなか進路が決めきれない
初期研修2年間を終えても、専門科を決めることができず悩む若手医師は多いです。
呼吸器内科は、感染症、がん、アレルギー疾患、びまん性肺疾患、膠原病、呼吸不全、胸膜疾患など多岐にわたる病態を扱います。そのため幅広い知識と、経験、判断力を求められる診療科です。様々な病態をもった患者さんへ対応することが求められるので、幅広い対応能力を身に着けることができます。
多くの病態を扱う診療科であり、呼吸器内科専門医研修を行う中で、興味が出てきた分野(例えばアレルギー専門医、感染症専門医、肺癌・腫瘍内科医、肺炎、膠原病、気管支鏡分野など)でスペシャリストを目指してキャリア形成をしていくのは、柔軟性があり面白いと思います。ひとまず呼吸器内科研修で研鑽を積みながら、その中で興味を持った分野を専門にしていくことができるため、キャリア形成がしやすいです。
6)感染症内科に興味がある
呼吸器内科は感染症をよく診療する科です。例えば、結核診療は特徴の1つで、肺結核、結核性胸膜炎は日常診療で対応します。他の診療科で、肺外結核(例えば、頸部結核性リンパ節炎、腸結核など)と診断されても、結核治療をした経験がないという理由で、治療経験がある呼吸器内科に治療を頼まれることが多いです。非結核性抗酸菌症の患者数も増加しており、困っている患者が多い分野です。
他にはアスペルギルス症などの真菌症、新型コロナウイルス肺炎、通常の細菌性肺炎/非定型肺炎などなど、感染症を多く診療します。そのため、感染症に興味がある方は呼吸器内科に向いていると思います。
7)将来仕事がなくなる心配をしたくはない
メジャー内科の中では圧倒的に専門医数が少ないですが、患者数が多いのが呼吸器内科です。専門医数が少ないので、引く手あまたの診療科です。
他の診療科に比べたら、呼吸器内科を志望する若い先生は少ないため、需要が沢山あります!呼吸器内科の需要があるということは、将来の働き口には困ることがないということです。
実際、私自身が経験しているのですが、需要が高いため、転職活動がしやすかったです。
8)珍しい疾患、難病の診療に興味がある
例えば、間質性肺炎の原因検索で、膠原病の診断がつくことがあります。ANCA関連血管炎、皮膚筋炎や多発性筋炎、SLE、全身性強皮症などですね。これらの膠原病の頻度自体は多くはないため、普通に一般内科医で働いていても、自身で診療をした経験がない医師もいます。ですが、呼吸器内科は、珍しい疾患の診断から治療まで対応する機会がある診療科です。
また、難病を有する方は、経過中に肺病変を合併するケースが多くあります。そのため、他科から珍しい症例の相談を受ける機会が多いので、内科医としての知見が広まります。稀で珍しい疾患、難病の疾患の診療にも興味がある先生は、呼吸器内科はお薦めです。
9)手技が多い診療科は嫌だけど、ある程度の手技がある科がいい
呼吸器内科では、程よい手技があります。
10)将来開業したり、クリニックで働きたい
総合内科的な診療科であり、その経験をプライマリーケアで活かすことができると思います。
また胸部X線の読影経験を活かし検診業務、産業医でも活躍可能です。
11)緩和ケア医、在宅診療医になることを考えている
例えば、肺癌の診療を通して、放射線治療や医療用麻薬を含めた鎮痛コントロールを行うこと、呼吸困難への対応、社会的なサービスと退院の調整、在宅医療、鎮静剤の使用など、多岐にわたり緩和ケア療法を経験できます。
癌の診療以外では、進行したCOPDや間質性肺炎などにより慢性呼吸不全になっている方の終末期の対応を経験していきます。終末期の対応をすることが多い診療科ですので、緩和ケア診療や在宅医療に興味がある先生は、呼吸器内科での経験が強みになるはずです。また今は興味がなくても、転職を考える際に、緩和ケア医、在宅医療の分野に進んでいくことも可能です。
12)勉強をすることが好き
肺癌診療では、多くの分子標的薬が実臨床に次々に導入されてきています。癌診療を飛躍的に発展させている免疫チェックポイント阻害薬の診療は、他の診療科よりも肺癌領域でどんどん進んでいます!
気管支喘息でも、生物学的製剤が次々と実臨床に導入されています。
呼吸器内科領域は、医学の進歩がとても速く、最新の知識をUp dateすることが大変です。このように進歩が速い診療科なので、勉強が好きな先生には、学んだことを臨床にすぐに活かすことが出来るので、相性がいいと思います。
13)ニーズの高い診療科に進みたい
呼吸器内科専門医は、循環器内科専門医や消化器内科専門医の数と比較し、圧倒的に少ないです。現実は呼吸器系の疾患、患者数は多いのですが、専門医が少なく、ニーズに応えきれていないため、需要が高い診療科です。
14)将来の働き口が無くなることを心配したくない
人気のある診療科や、進む人が多い診療科は、将来的には患者数が減るので、医師としての存在価値が減ります。呼吸器内科は、専門医数が少なく、おそらく急に増えていく感じもないため、今後もニーズが高く、将来的な勤務先・転職先がなくなるといった心配はいらないと思います。
まとめ
この記事では、将来の専門を悩む若手医師に向けて、「呼吸器内科医に向いている先生の特徴」について、呼吸器内科医10年以上のキャリアがある私の経験を活かして記事にしてみました。
呼吸器内科は、幅広い臨床対応能力が求められるので、立派な内科医になりたい方にはお薦めの診療科です。
この記事が、進路に悩む先生方のお役になれば幸いです!