「初期研修がおわり、専攻医になったけれど、このままの過ごし方でいいのだろうか?」
後期研修医・専攻医の時期は、医師としての土台を作る非常に大切な期間です。
一方で、忙しい日々に追われていると、
- 何を目標にすればよいか分からない
- 周囲と差がついている気がして不安
- 勉強したいけれど時間がない
- 将来のキャリアが見えない
と悩む先生も少なくありません。
私の今までの経験では、後輩だけではなく、先輩の先生方も皆同じように研修期間を悩んで過ごされておられました。
私が内科指導医としての立場からみて感じることは、専攻医期間で差がつく要因は「才能」ではなく「過ごし方」です。
この記事では、指導医として若手医師を見てきた立場から、後悔しない専攻医・後期研修医期間を過ごすための具体的な行動を解説します。
この記事で分かること
- 専攻医・後期研修医の期間の過ごし方で差がつく理由
- 後悔しやすいパターン
- 後悔しないためにどのように過ごすか?

専攻医(後期研修医)の過ごし方で差がつく理由
専攻医、いわゆる後期研修医の期間は、医師人生の中でも特に成長幅が大きい時期です。
初期研修では幅広い診療科を経験しますが、専攻医になると、自分の専門領域に軸足を置きながら、より主体的に診療へ関わるようになります。
この時期に、ただ日々の業務をこなすだけで終わるのか、それとも目的を持って経験を積むのかで、数年後の実力に大きな差が出ます。
同じ環境でも差がつく理由
同じ病院、同じ指導医、同じ症例数であっても、伸びる先生と伸び悩む先生がいます。
その違いは、主に以下のような点にあります。
- 目標を持って研修しているか
- 疑問をそのままにしないか
- 症例から学ぼうとしているか
- 周囲と良好な関係を築けているか
- 無理をしすぎず、長く成長できる状態を保てているか
同じ病院の研修プログラムで過ごしても、意識が異なるだけで大きな差が生まれていきます。
専攻医(後期研修医)が後悔しやすいパターン
まず、後悔しやすい専攻医の共通点を整理します。
目標がないまま研修してしまう
「とりあえず目の前の仕事をこなす」だけでは、成長の方向性が定まりません。
もちろん日々の診療をこなすことは大切です。
しかし、目標がないまま過ごすと、研修終了時に「結局、自分は何ができるようになったのだろう」と感じてしまう可能性があります。
勉強方法が分からず、成長実感がない
専攻医になると、初期研修医時代よりも責任が増えます。
その一方で、体系的に教えてもらえる機会は減り、自分で学ぶ姿勢がより重要になります。
短時間でも学びを積み重ねる工夫が重要になってきます。
人間関係で孤立してしまう
医療はチームで行う仕事です。
医師だけでなく、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、事務職員など、多くの人の支えがあって診療は成り立っています。
専攻医になった途端に態度が大きくなったり、相談しづらい雰囲気を出してしまったり、コメディカルに厳しく接するようになる先生が一定数います。
結果的にスタッフから嫌われ、本人が気が付かないうちに悪循環が生まれます。
いい雰囲気で、協力してスムーズな診療ができれば、いい結果につながり、それが医師としての貴重な臨床経験になっていきます。
その逆をすると、いい臨床経験が積めなくなる結果が自然と繰り返されます。
同じ環境で研修をしている医師との間に、自然に差が生まれていくことになります。

専攻医(後期研修医)の過ごし方|後悔しない7つの行動
① 目標を明確にする
まず大切なのは、専攻医期間で何を身につけたいのかを明確にすることです。
目標はなるべく具体的にすることがコツです。
- 3か月後にできるようになりたいこと
- 1年後に自信を持って診られるようになりたい疾患
- 習得したい手技
- 専門医取得までのスケジュール
このように、具体的に書き出すことが重要です。
今日からできる行動の例
- 「3か月後にできるようになりたいこと」を3つ書く
- 経験したい疾患、症例数、手技などをリスト化する
- 月1回、自分の成長を振り返る時間をつくる
② 積極的に学ぶ姿勢を持つ
専攻医期間は、仕事をこなすだけでは不十分です。
日々の診療で出会った疑問を、その日のうちに少しでも調べる習慣がある先生は確実に伸びます。
- 担当患者の疾患を教科書で確認する
- ガイドラインを読む
- 気になった論文を1本だけでも確認する
- カンファレンスで質問する
大切なのは、毎日1つでも学びを積み重ねることです。
③ 多くの症例を経験する
医師の成長には、症例経験が欠かせません。
特に専攻医の時期は、多少大変でも多くの症例に向き合うことで、臨床力が大きく伸びます。
ただし、単に症例数を増やすだけでは不十分です。
重要なのは、1例1例から何を学ぶかです。
- 診断までの流れ
- 治療選択の理由
- 合併症への対応
- 患者・家族への説明
- 退院調整や多職種連携
こうした視点を持つことで、同じ症例でも学びの密度が変わります。
④ 良好な人間関係を築く
専攻医として成長するうえで、人間関係は非常に重要です。
伸びる先生ほど、周囲への敬意を忘れません。
- 挨拶をする
- 相談する
- 感謝を伝える
- コメディカルの意見を聞く
- 患者さんに誠実に向き合う
一見当たり前のことですが、この積み重ねが信頼につながります。
信頼される専攻医には、自然と良い経験が集まります。
⑤ 休む力を身につける
専攻医期間は、心身に負荷がかかりやすい時期です。
頑張ることは大切ですが、頑張り続けるだけでは長く続きません。
医師として長く働き続けるためには、休む力も重要です。
- 休日はしっかり休む
- 睡眠時間を削りすぎない
- 軽い運動を取り入れる
- 趣味の時間を持つ
- 疲れたときは早めに相談する
私は、研修期間に休む方法を身につけるようにと指導しています。
⑥ 定期的に振り返る
忙しい日々の中では、自分の成長を実感しにくいことがあります。
そのため、定期的な振り返りが大切です。
具体的には月1回の振り返りをしてみることをおすすめします。
- 今月できるようになったこと
- まだ不十分なこと
- 印象に残った症例
- 次の1か月で意識すること
振り返りを行うことで、漠然とした不安が具体的な課題に変わります。
⑦ メンタルヘルスを意識する
専攻医期間は、責任が増える一方で、まだ経験不足を感じやすい時期です。
そのため、精神的な負担が大きくなることもあります。
大切なのは、一人で抱え込まないことです。
- 指導医や仲の良い先生に相談する
- 同期と話す
- 家族や友人に気持ちを共有する
心身の健康を保つことは、医師として成長するための前提です。

専攻医のキャリアに悩んだときの考え方
専攻医期間中は、将来のキャリアについて悩む機会が多くあります。
- この専門科でよかったのか
- 大学医局に残るべきか
- 市中病院で働くべきか
- 専門医を取った後どうするか
将来について悩み、考えながら研修することは、とても大切で、必要なことだと思います。
すぐに答えを出そうとはせず、じっくり自分自身と向き合い、とことん悩むことをおすすめします。
悩みすぎて困る先生は、まずは基本となる専門医取得までの道筋を確認し、そのうえで自分がどのような医師になりたいかを少しずつ考えていきましょう。
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専攻医・後期研修医におすすめの基本的な学習方法
専攻医期間は、日々の診療と並行して効率よく学ぶ必要があります。
おすすめは、以下の3つを組み合わせることです。
① まずは教科書で全体像をつかむ
いきなり論文を読むよりも、まずは標準的な教科書やガイドラインで全体像を理解することが重要です。
例えば呼吸器診療では呼吸器学会から出版されている以下のテキストをベースに土台を作っていきましょう。
② 症例ごとにガイドラインを確認する
担当患者の疾患について、その都度ガイドラインを確認すると、知識が臨床と結びつきます。
③ 専門医試験を早めに意識する
専門医試験は、日々の診療と関連づけて学ぶ方が効率的です。
専攻医期間中は、学会発表や、症例要約などもこなしていく必要があります。
短期的な目標としては、ベースとなる専門医取得になるため、意識しながら過ごしていくと良いと思います。
専攻医・後期研修医の学習には、試験対策でも使うイヤーノート・各専門科の参考書を早めにそろえておくと便利です。
試験のあとも残しておきたい 内科専門医・総合内科専門医試験対策問題集 改訂2版

まとめ|専攻医で差がつくのは「行動」
専攻医・後期研修医の期間は、医師として大きく成長できる貴重な時間です。
後悔しないために大切なのは、次の7つです。
- 目標を明確にする
- 積極的に学ぶ
- 多くの症例を経験する
- 良好な人間関係を築く
- 休む力を身につける
- 定期的に振り返る
- メンタルヘルスを意識する
専攻医期間で差がつくのは、才能ではなく日々の行動です。
今日からできることを、1つずつ積み重ねていきましょう。
この記事が、これから専攻医・後期研修医として頑張る先生方の参考になれば幸いです。
🩺 呼吸器内科医のキャリア
後期研修を終えたら、次は専門医試験への準備です。総合内科・呼吸器・気管支鏡・がん治療認定医の対策をまとめています。
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